母のプレゼント

著 Q太

「お母さん、今日学校が終わったら久美とクリスマスのプレゼント探してくるね」

「今日は塾の日ですよ。遅れちゃだめよ」

「分っています。ちゃんと行くし、門限にも間に合うようにちゃんと帰りま〜す」

 香織は元気にそう言うと、いつも通り久美をさそってへ学校へ向かった。

 高校という新しい舞台で知り合った同級生の久美は、香織にとって生涯の友かと思う

ほど気が合った。

 学校が終わると二人は約束通り町へ出かけた。

 あちらこちらでクリスマスソングが流れ、たくさんの人が行き交う繁華街は二人に

とって久しぶりの天国に思えた。

 他愛もないアクセサリーや可愛い文房具を仲良し仲間のクリスマスプレゼントとして

選び二人は夢中になった。

 美味しそうなクレープ屋で楽しみ、高校で禁止されているゲームセンターを覗き込ん

では歓声を挙げた。

 久美が時間に気がついた時は、塾の時間が過ぎていた。

「香織!大変! もう塾が始まっている!」

「ええ〜、ウソ〜!!」

 一瞬、二人は顔を見合わせ青くなったが、もうどうしようもない。

「今から行っても、もう終わりだよね。どうしよう・・」

「・・どうしようもないよ、サボろう」

「ウソ〜、そんな事したら大変だよ〜」

「そうだ。塾に休むって電話しよう、そうすればバレないよ。『今日はどうしました?』

なんて電話されたら、それこそ大変だよ」

 香織が公衆電話の受話器を取っていた。

『あ、あのすいません。今日熱があるのでお休みします』

 相手は事務的に受け付けた。

「やった〜。大丈夫、完璧ばれないよ」

 二人ともちょっと不安はあったが、気持ちが抑揚していた。

 幼い考えなのだが、二人にとっては完全犯罪のように思えた。

 香織は母にお願いしているクリスマスプレゼントのCDを見に行くと言い、久美も欲し

いゲームソフトを見に行くと言った。

 楽しい一夜を過ごす二人の姿を、一人の女性の目が捕らえている事に気がつかなかっ

た。いつもの塾の帰り時間を見はからって、何もなかったように二人は家に帰った。

 翌朝、目を覚ました香織は何となく気が重かった。

『昨日はあんなに楽しかったのに』そう思っても、どこかで悪い事してしまった後悔

が頭の隅から離れない。

『でも仕方がない。終わった事だし、誰も知らないのだから・・』

 香織はいつもと同じに振る舞い元気に出かけた。その時には放課後のことなど思って

もみなかった。

 事件はすぐに起こっていた。

 香織を送り出した母親が家の前を掃除しようと玄関を出ると、お勤めに出かける向い

の奥さんと行き会った。

「おはようございます」

 普通の朝の挨拶が交わされた。

「そうそう、娘さん大きくなられたですね。この前までお嬢ちゃんだったのに」

「いいえ、身体ばかりでまだまだ子供で・・」

「昨日、街で見かけましたよ。お友達と楽しそうに」

 はじめは世間話だったが、塾の時間まで街に居たことを聞いて、母親の顔色が変わっ

た。塾に確認の電話をすると案の定お休み。

 すぐに久美の母親と連絡をとり相談した。今日は塾も休みなのできっと二人で帰って

くる。どちらの家に二人が現れても電話をすることにした。

『みっちり取っちめてやりましょう』

 その時には、それが母親の共通の意思になっていた。

 何も知らずに、香織が久美を連れて家に帰ってきた。

「ただいま〜、久美と一緒に宿題するから、オヤツお願いね」

 ダイニングの扉を開けて香織は只ならぬ様子に驚いた。母親は椅子に座り厳しい顔で

香織を睨みつけていた。

「香織!久美ちゃん!ここに来て座りなさい!聞きたい事があります」

 二人は母親の前に向かい合って座るしかなかった。

「・・、何?お母さん・・」

「何じゃありません!二人とも昨日の塾はどうしたの!?」

 一瞬驚いて二人は顔を見合わせた。

「ち、ちゃんと行ったよ・・・」

「嘘おっしゃい!お母さんに嘘をつくとどうなるか分かっていますね?」

 二人はうな垂れ、これ以上どんなに嘘をついてもお見通しなのを悟った。

「お母さん、ごめんなさい。気が付いたら時間が過ぎていて・・・」

「言い訳は聞きませんよ。久美ちゃんのお母さんに電話してきますからね」

 立ち上がると、部屋の隅の電話機を取った。

「奥さん?今二人して家に現れたわよ。ええ久美ちゃんも一緒。ええ、ええ、そう

ね。そうするわ。じゃあ後でね」

 受話器を置くと、母親は振り返った。

「今から久美ちゃんのお母さんが来ますって。それまでお尻を暖めておいてって言っ

てましたよ。お仕置きです!」

「ああ、ごめんなさい。もう高校生ですから、お仕置きなんて・・。もう絶対塾サ

ボったりしませんから〜」

「いけません!高校生も中学生もありません。少しお仕置きが遠のくとすぐこれです

からね。さあ、香織からですよ。膝へ来なさい」

 母親は椅子に座り直すと、膝をポンポンと叩いた。香織はもう逃れられないことを知

ると素直に母親の膝の上にうつ伏せになった。

 スカートを捲り上げられた雰囲気に、香織は慌ててお尻を押さえた。

「いや、お母さんスカートの上からにして〜。久美ちゃんが居ますから〜」

「ダメです。久美ちゃんに良く見てもらいますよ!その後で久美ちゃんも同じお仕置

きですからね」

 否応無しにスカートが捲られ、パンティだけのお尻が剥き出しになり、母親は1打目か

ら思い切って叩いた。

ピシャ! ピシャッ!

「あ〜ん、痛い、痛いよ〜、ごめんなさい〜」

ピシャッ! ピシャッ! 

 久美は目を伏せて、じっとしているしかなかった。

「ごめんなさいじゃありません! 許しませんよ!」

 手加減のない叩き方で2ダースのもお尻を叩かれた。

「さあ、久美ちゃんの番よ。お母さんが来るまでに、少し叩いておきましょうね」

「お、おば様、許してください。久美、お家でお仕置き受けますから・・・」

「いけません! さあ、いらっしゃい!お尻を出すの!」

 無理やり腕を掴まれると膝に乗せられ、久美も同じように2ダースのお尻叩きをパン

ティの上からもらい、泣いてお詫びをした。

「さあ、二人ともスカートを脱いで壁に向かって立ちなさい」

「ああ〜ん、許して・・・」

「つべこべ言うんじゃありません。素直になさい!」

 香織の母親は隣の座敷から、竹の物差しを持ってくるとピシャピシャ自分の手に当て

脅かした。

二人はおずおずとスカートを脱ぎ、言われて通りに壁に向かって立つしかなかった。

二人が並んで立つと、母親はいきなりパンティに手をかけ太腿まで引き下ろした。

「イヤァ〜!」

 二人は悲鳴を上げたが、既に時遅くピンクに染まった生の双丘がふたつ並べられた。

「まったくいい歳をして、大きなお尻でお仕置きをされなくちゃならないなんて、情

け無いわね。暫くそうしていなさい!」

 そう間を置かずに久美の母親がやって来た。

「久美!いったい何なの! お母さんはそんな子に育てた覚えはありません!」

「ごめんなさい、ごめんなさい」

「少し叩いて頂いたようですけど、こんなものじゃ今日は許しませんからね! 奥さ

ん、手を縛ってしまいますから紐を貸してくださらない?」

 すぐに紐が二本用意され、二人とも両手を前で結わかれてしまった。

「さあ、本当のお仕置きはこれからよ。香織、あなたからですからね。テーブルに

行ってうつ伏せになりなさい」

 言われる通りに上体をテーブルに乗せ、生のお尻を突き出す形にされた。

「お母さん、酷くしないで・・。反省していますから・・」

「お黙りなさい! まだまだ反省が足りません。二度とこんな事が無いようにたっぷり

お仕置きですからね」

香織の母親は脇に立つと物差しを振り上げた。

ビシッ! ビシ−ッ!

「ヒッ、ヒィィィ〜! 痛い! 痛いよ〜!」

「じっとしていなさい! 暴れたら足も縛ってしまいますからね!」

ビシッ! ビシッ! ビシ−ッ!

 柔らかく大きな生尻に物差しがしなりながら叩き込まれ、その度に哀れな尻肉がブル

ブル震えた。

 50打も打ち据えられ、ひいひい悲鳴を上げさせられて母親はようやく物差しを久美の

母親に渡した。

「さあ、久美もいらっしゃい!香織ちゃんと同じ格好になりなさい」

 久美は叩かれる前から泣きべそをかき、フルフルと震えていたが、一打目で飛び上

がった。

ビシ−ッ! ビシッ! ビシッ!

「イヒィィ−! 堪忍! 堪忍して〜〜!」

 とうてい許される訳は無く、打たれる度にテーブルの上で身体をよじらせ、お尻は激

しく跳ね回った。

 久美も50打を打たれ、ようやく二人は元の壁に向かって立たされた。

「本当にとんでもない娘たちね」

「本当ね。明日はクリスマスだって言うのに、こんな事ではプレゼントは無しね」

「当然よ。こんな事でお仕置きを許して良いかどうかも怪しいものだわ」

「そう、そう思うでしょう? だから私これ持ってきたのよ」

 久美の母親は、着て来たコートのポケットから袋を取り出した。

「何?それ」

「艾よ。も、ぐ、さ、お灸を据えるのよ」

「え?お灸って、あのお灸?」

 話を聞いていた久美が思わず声を上げた。

「ああ〜、お、お母さん。お願い、お灸だけは、お灸だけは・・堪忍して・・下さい」

「あなたは黙っていなさい。どんなお仕置きにするかはお母さんが決める事です」

「奥さん、久美ちゃんにお灸を据えたことあるの?」

「ええ、ここ暫くは無いけど、前には据えたわよ。だから久美は艾って聞いただけで

大騒ぎするのよ。きっと」

 二人は子供にとって聞くもおぞましいお灸談義を始めた。

「だって、お灸ってもの凄く熱いでしょう?」

「それはそうよ。あら、奥さん据えられた事ない?私の娘時代はけっこう据えられた

わよ」

「ウソ〜、奥さんも据えられたの? お尻に?」

「う〜ん、お尻って言えばお尻・・。でもほら、お灸って火傷の痕が残るでしょう。女の

子はちょっと可哀そうだからってお尻の近くの目立たないところに据えられたのよ」

「お尻のそばの目立たないところ? それってもしかしてあそこの事?」

「ん? まあね。要するに・・・お尻を広げたり、足を開いたところよ」

「ひえ〜、ビックリ。それじゃあお尻よりもっと熱いじゃない・・、我慢できるの?

死にそうじゃない?」

「我慢なんて出来ないわよ。でも、お仕置きだから仕方ないわね。『死ぬ』って言っ

た事があるけど『お灸で死んだ人はいません!お灸のお仕置きでぐれる子もいません』な

んてて言われたわよ」

「久美ちゃんにも同じところ?」

「まあね」

 こんな調子で二時間近くものお仕置き談義で、香織と久美はお尻を出したままブルブ

ルと震えていた。

『さあ、始めましょう』と言い出されるのが何より怖かった。

 結局、お灸は据えられる事なく久美は母親と帰っていった。

 香織はと言えば、その後もお尻を出させられたまま座敷で正座をして勉強をさせられ

た。

 翌朝は二人とも浮かぬ顔で学校へ向かっていた。

 一日中、痛いお尻で椅子に座っていなければならない苦痛を思うと当然だった。

「ねえ久美、昨日は酷かったね。塾サボろうなんて言ってゴメンネ・・」

「うん、しようがないよ。サボったのは私も一緒だもの・・」

「家はあれからお尻出させたまま宿題やらされたのよ。それも正座で」

「それだけ?じゃあ良いじゃない。家は大変だったの。夜お母さんがお父さんに相談

して『やっぱりお灸を据えておきなさい』って」

「ウソ〜ッ!お灸据えられたの?お尻に?」

「バカね。家のお母さんが言ったでしょう。もっと辛いところ・・・」

「・・・・・・・・」

 二人は無言で歩くしかなかった。そう言えば久美の歩き方が何となくぎこちなかった。

 その夜は、父も早く帰りいつものクリスマスイブのパーティーだった。香織もなるべ

く快活に振る舞い笑っていたが、ケーキの味は苦かった。

 なるべく早く、痛むお尻を擦りながら寝てしまいたいと言うのが本音だった。

 プレゼントは無しと言われていたが、朝目を覚ますと赤い包み紙にリボンの付いた包

みが枕元に置かれていた。

 ちょっとうれしい気分になって、慌てて包みを開くと母親のメモがと袋が入っていた。

『自分でちゃんと管理しておきなさい。無くしたら承知しませんよ』と書かれたメモ。

さらに袋を開けると中身は艾が二袋だった。

                                  終わり

戻る