『女児専門小児科梅屋敷医院』
written by 透明人間
暇を持て余していると友達に面白い病院があるというので探検してみること にしました。
「えっと、梅屋敷医院前のバス停を降りて、雑木林をまっすぐにか。……… ああ、あったあった」
それは町外れにありました。古い木造の洋館で近くに目立った建物もなく、 雑木林に囲まれていても赤い三角屋根はよく目だちます。その入り口には…
「なになに、女児専門小児科梅屋敷医院…院長梅屋敷照子か……なるほど」
いったんは納得しましたが、
「……ん?……あれ???」
梅屋敷は先生のお名前ですし、小児科もごく普通の診療科目ですから問題は ありません。でも、なぜ女児専門なのでしょうか。その疑問を解明すべく私は 透明人間になる薬を飲んで中へと入ってみたのでした。
『こんにちわ』
と言っても私の声は聞こえませんが。
> わあ、病院の待合室なんてどこも同じだなあ。待合室のソファーには子供達 が七八人、いずれもお母さんと一緒に待っています。なるほど女児専門を謳う
だけあって女の子ばかり。なかに三四歳の男の子が混じっていますがこれは 留守番が心配なので連れてきたお供さんでしょう。
年齢もさまざまですね。幼稚園から小学生、なかには中学生や高校生にしか 見えない子もいますけど付き添いなんでしょうか。
いえいえ、彼女たちにもちゃんとお母さんが付き添っていますから、どうや らおちびちゃんたちの付き添いじゃないみたいです。
でも、それにしてもみんな暗いなあ。ま、病院ですからきっとどこか痛いん でしょうし、明るい顔なんてできないのは分かりますけど、それにしても。
だって、泣いてる子がここにもほらあそこにもいますよ。あの子なんかもう 中学生にもなっているのに、さっきから涙が止まらないじゃないですか。
「ガチャ」
あっ、誰か出てきました。きっと診察が終わったんでしょうね。お母さんか ら背中を押されるようにして。
わあ、目が真っ赤。泣いちゃったんですね。お尻さすってるからきっと注射 されたんでしょう。よほど太い注射だったのかな。
「沖さん。沖和子さん」
あ、看護婦さんが呼んでいます。
あ、あれはさっきまで泣いてたここでは年長のお姉さんですよ。一緒に診察 室へついて行ってみましょうか。
『こんにちわ』
なるほど、薬戸棚にガーゼを消毒する蒸し器。先生がカルテを書く机に患者 さんが座る丸い回転椅子と……。背もたれ付きの椅子もありますね。処置台は 黒いレザー張りの昔風と…。別に変わったところは……。
『ん、何だあれ』
診察室の奥に区切られてまた小部屋がありますよ。しかも何だか中が騒がし そうなのにここへはあまり声が聞こえてこない。きっと、防音装置が施されて いるんだ。
『ああ!これは……』
道理で騒がしいはずだよ、女の子がお尻を叩かれてるんだ。それも看護婦さ んの膝のうえに乗せられて……あ〜あ、お尻はもう真っ赤っかなのにまだやる のかなあ。これじゃあ、暴れるはずだよ。あれって十一歳くらいかなあ。
『おおい、そんなにあんよばたばたやると大事なところが見えちゃうよ』
あれ?そばにいるのあの子のお母さんかなあ。事情は分からないけど看護婦 さんを止めてやればいいのに。
「沖さんですね。今日はどうなさいました」
あっ、さっき呼ばれたお姉さんがお母さんと一緒に入ってきた。もうそんな に幼い子じゃないんだから病院くらいひとりで来ればいいのに。
「実は、この子最近さぼり癖がついてしまって成績も下がり気味なんです。 根気がないというか」
「何か別のことに興味があってそれに時間を割いているとか」
「ありません。暇があるとただぼ〜としているだけなんです。今日も父親の お仕置きを逃げ出してしまって」
「まあ、お父さまのお仕置きを……。それはどんな」
「普通のお尻叩きですわ。膝の上で、パンツを脱いで、平手で、……こんな こと小学生の頃からやられてるのに今日に限って耐えられないなんて。しかも 逃げ出すときに父親ともみあって顔にひっかき傷まで作ってしまって」
「まあ、お父さまの顔に……わかりました。それではまずショーツを脱いで その処置台に上がってください」
> 何だ何だ?それって病気なのか。……ん?……でも、ショーツを脱いでって ことは…男の子としては胸が高まりますよ。
「さあ、和子早くなさい」
何だか和子ちゃんさっきからずっとこっち見てるなあ。ぼくの姿が見えてる はずないんだけど…。
「どうしたの。今さら恥ずかしいなんて言わないでちょうだいね。ここには 女性しかいないのよ。それともお家に帰ってお父さまにお仕置きをやり直して もらったほうがいいの」
『わあ、こわ〜』
あれ、これって婦人科にある内診台ですよね。ひょっとして妊娠中絶の子も 来たりして。そんなわけないか。ここは小児科だものね。とにかくドキドキも のですよ、これは………。
「あなた、オナニーしてますね。大事な襞が乱れてますよ」
「すみません先生」
「別にお母様が謝ることではありません。……ほら、炎症を起こしてるわ。 オナニーに直接的な害はありませんが、やり過ぎると何事にも根気がなくなり
ます。これはちょっとやり過ぎね」
『わあ、顔、真っ赤』
当たり前だけどそんなこと面と向かって言われたら誰だって恥ずかしい ものね。
……ん、さっきの防音室がまたなにやら騒がしいけど……。
「ヤメテ!」
『おやおや』
今度はさっきの女の子が台の上にうつぶせに乗せられて………
…ん?あれってどこかで見たぞ………
あ、そうだ「Whips And Tears」の挿絵にでてくる懲罰台と同じ作りなんだ
しかも手足を四隅の足に縛られてる。
「ピシッ」
あれ革紐じゃないか。もうお尻がまっ赤っかなのにまだやるのかい。
「ピシッ」
看護婦さんも他人の子なのによくやるなあ。
『あ、また』
「ピシッ」
よく見ると女の子、全身に震えがきてる。大事な処もぴくぴくいってるし、 これじゃあまるで拷問だよ。
……でも、ちょっと覗いてみるか。
「もうしません。良い子になります。ママ許して」
「だめよ。あなたのその言葉はママもう聞き飽きたの。今日はせっかく梅屋 敷先生の処へ来たんだからたっぷりやっていただきましょう。あなただって、 お兄ちゃんの前でお仕置きされるよりここの方がいいでしょう」
「ピシッ」
「いやあ、お家帰る」
「いけません。今日はあなたの性根を据え直すまで徹底的にやってもらうの わかった」
「…………」
「ご返事は」
「ピシッ」
「分かりました。良い子になります。だからもうぶたないで」
「ためよ。だってまだご返事が遅いじゃない。一ダースじゃ足りないみたい ね。もう一ダース追加していただきましょうか」
「いやあ、死んじゃう」
「オーバーね。こんなことで死にはしないわ。二三日お座りするたびにここ のことが思い出されるだけよ」
「ピシッ」
「いや、お家へ帰る」
看護婦さんの鞭とお母さんの小言が絶妙のタイミングだなあ。でも、これっ て折檻だよね。なぜ、病院でこんなことやってるんだろう。
「いや!、やめて」
あや?今度は外の処置台の方だ。
「大きな声を出さないの。みっともないわね。待合室まで聞こえますよ」
わあ、いつの間にカーテンが…、あっちを見損なっちゃうよ。
『こんにちわ。再びおじゃま……』
「!!!」
う〜ん、いきなりのドアップ。ダイレクトに見てしまいました。男なら喜ば なければいけないんでしょうけど、実はぼく、苦手なんです。
「先生、私にできますでしょうか」
「大丈夫、そんなに難しくはありませんから。ただ、細い部分ですから慎重 に行いませんと」
「こうでしょうか」
「いえ、このぷくっとしたところを押し広げるように……………そうです。 そうです。よく見えるでしょう。そしたらそこに針を入れて。……和子さん。 針が入りますから動かないでくださいね」
どうやら先生が和子ちゃんのお母さんに何やらレクチャーしてるみたいだけ ど。浣腸じゃないみたいだし…。
『ん、水の音?』
あ、これって導尿だ。こうしてやるのか。
『ん、かわいい』
やっぱりこうでなくちゃ。びろんびろんじゃ見たくないもの。
『え、何の話かですって』
いいじゃないですか。男の独り言ですよ。
「和子さん。腰の力が抜けちゃったでしょう。でも、これでお漏らしはあり ませんよ。もう出るものがありませんから。では、お母さん。そうっと抜いて ください」
「あのう、そのことなんですけど。できればこのままお灸をすえたいんです けど、いけないでしょうか」
「え、それはかまいませんけど。お灸は熱いですから暴れたりすると」
「それは大丈夫です。お灸はいつもすえてますから。それにこの子も大きく なって少しぐらいの折檻じゃこたえなくて。むしろ恥ずかしい思いをさせた方
がいいかと思いまして」
「そうですね。たしかに和子さんもお年頃ですし」
「ありがとうございます。先生。……和子。聞いての通りよ。今日はうんと 恥ずかしい思いをして帰りましょう。そうでないとお母さんお父さまに申し訳 がたたないわ」
こわ〜あ。このお母さん継母かなあ。
「先生。かまいませんからカーテンを開けてください」
「わかりました」
「チャー、チャー」
あ〜あ。とうとう丸見え。女って残酷だなあ。
「どう、恥ずかしい」
「……」
「そう、それはよかったわ。でないとお仕置きした甲斐がないものね。今度 お父さまのお膝に乗るときは今日の恥ずかしさをようく思い出して二度と逃げ
たりしないでちょうだいね。あなたのそうした粗相は私の粗相になるの。わか
ってますね」
「はい、お母さま」
「よろしい。今日はお灸がたった三つだけですから歯を食いしばって我慢す るの。でないと、おしっこをする穴に入れた針が折れて大変なことになります からね。いいですね」
「はい」
う〜ん、すごいなあ。女の子のお仕置きってこんな所でやってたのか。
「カチャ」
あっ、さっきの部屋から看護婦さんが出てきた。
「小柴愛紀ちゃんの処置、終わりました」
「そう、じゃあこっちへ連れてきて」
そうか、あの子「こしばあき」っていうのか。やっと泣きやんだって感じだ な。でも、まだ怯えてる。
「愛紀ちゃんいらっしゃい……さあ、どうしたの、こっちへいらっしゃい」
そう言われてもね。でも、お母さんに背中を押されたら、行かないわけには いかないか。
「どう、お鞭のお仕置きは大変だったかしら」
「……」
「愛紀、ちゃんとご返事なさい」
「いいんですよ、お母さん。初めてのお懲罰台ですものね。でも、これから は悪さをするといつもあそこよ。もう二度と上がりたくないでしょう」
「……」
「だったら、怠けたり、お母さんに嘘をついたりしちゃだめよ。大きくなっ て悪さをするとね。ほら、あのお姉ちゃんみたいにあんな恥ずかしいことやら されるんだから」
わあ、そんなこと紹介しなくてもいいじゃないか。かわいそうだよ。でも、 和子ちゃんのお母さんはそれを聞いても笑ってるよ。本当にサディストだなあ あの人。娘がかわいそうだって思わないのかなあ。
「さあ、愛紀ちゃん今度はこの踏み台の上に立ってごらんなさい。今度は お母さんに宿題を出しておきますからね」
『お母さんに宿題?って』
あっ、看護婦さんがスカートを捲り上げたと思ったら、せっかく穿けたショ
ーツをまた下ろされちゃった。
「いいですかお母さん。私、これからマジックで印を付けますから、そこに 寝る前にお灸をすえてほしいんです。もぐさは当座一週間分出しておきますが 改善がみられない時はまた来院してください」
え!ということはこの子はこれから一週間ずうっとお灸のお仕置きを受ける ってことなの。それに……
「どうしたの愛紀ちゃん。恥ずかしい。恥ずかしいのもお仕置きだからもう 少し我慢しなさいね」
ちょっとちょっと先生。女の子の三角デルタとお尻にそんなにたくさんすえ ちゃっていいの。
「さて、このくらいですかね。愛紀ちゃんパンツをあげてもいいわよ」
お〜、愛紀ちゃんのふくれっ面。さっきまであんなに泣いてたのに、この子 けっこう気が強いわ。
「一カ所火をつけたらそれが自然に消えるまで待って次をつけるようにして ください。ただ、慣れてきてお仕置きの実が上がらないようならいっぺんに火 をつけてもかまいません」
「先生、痕がつくことはないんでしょうか」
「大丈夫です。お渡しするお灸はじかに皮膚を焼かないように工夫されてい ますから。まれに水膨ができることもありますが、それは痕にはなりません。 それよりここでの思い出を忘れないようにすることが肝心なんです」
「暴れるというようなことは」
「その時はご家族の方で押さえてあげてください。『またここに連れてくる
わよ』って言えばたいていのお子さんはおとなしくなります」
「でも、うちの子はこらえ性がなくて」
「大丈夫ですよ。お灸を大げさに考えるお母さんが多いですけど、幼稚園の 子でも慣れればおとなしくすえられているんですから、こんな大きな子が我慢 できないはずがありません」
「あのう」
ん?愛紀ちゃんのお母さんが梅屋敷先生に何やら耳打ち?何でしょう。
「あの子みたいにお股にもすえたほうがいいということは……」
「いえいえ、あれは辱めのお仕置きなんです。もちろんお子さんにも羞恥心 はありますが、それはまだ先にとっておきましょう。お仕置きは慣れると効果 が薄くなりますから…………よろしいですか」
「はい先生。助かりました。私一人では子供にどのくらいのお仕置きをして よいものか分かりませんもので…。それに、自宅では他の家族の目があって、
なかなか本格的なお仕置きを与えずらくて」
「わかります。私も最初はごく親しいお母さんへアドバイスするだけだった んですが、いつの間にかこんなふうになっちゃって。いまでは本当の患者さん までお断りする始末なんですよ」
なるほどなるほど、そうだったのか。
「そうだ、愛紀ちゃんに和子さんのお仕置きを手伝ってもらいましょう」
「いいんですか。そんなことして」
「どうでしょう。和子さんのお母さん」
「先生がそうおっしゃるなら。実は私、場所が場所だけにもぐさを置いては みたものの、火をつけそびれていたんです」
「では愛紀ちゃんにやってもらいましょう。いらっしゃい愛紀ちゃん。さあ お線香を持って…」
先生が一緒に手を添えてやるのか。でも、あれは秘貝の中だよ。クリちゃん のすぐ上にも、あんな所に本当につぼがあるのかなあ。
「いいこと、ここがよう漏、こっちが泉門、これが龍骨。どこも立派な経穴 よ。だからここを刺激しても何も害はないの」
「でも、熱いんでしょう」
「そりゃあ、お仕置きだから仕方がないわね。でも、熱いのはお尻にすえる のと同じよ。特別な熱さじゃないわ」
「そうなんだ。私、やってもいい」
「ええ」
おい、あの子先生の手を払いのけて自分で火をつけるぞ。
おい、おい、おい、
「…ああ、……いや、あつっ……ややややゃゃゃゃ……………」
女の子って残酷だなあ。
『やい、おまえだっていつかはそのベッドで泣くことがあるんだぞ』
「あれ、先生。いまなにか聞こえませんでしたか」
「たしかに。なんでしょう」
やばい、もう薬が切れ始めたか。
『じゃあ、またね』
今度はおもしろい学校があるっていうからそっちへも行ってみようっと。
<了>