妄想乙女始動す!
――女の子のためのSM妄想広場――(本誌巻頭文より抜粋)
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文=佐伯香也子
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「今まで、SM誌といえば、男性向けのものばかりだった。小説も、ほとんどが男性の書き手で、女性の乾いた心にしみ込んでくるものは少なかった。それに不満をもった女性達が集まって、今までになかった面白いものを創ろうということになった。
フェティッシュな女性たちが自分の性を自由に表現しあい、一緒に楽しめる場ができたらどんなにいいだろう。もちろん、書き手は女性のみ! 自ら求めるところの性を語ったエッセーや小説などを中心に、楽しくてエッチで夢いっぱいの、女の子のためのSM誌を創りたい!
『妄想乙女倶楽部』は、そういう切なる願いのもとに創刊された。既存雑誌のイメージを覆し、フェティッシュ文芸誌として、SMが本来もっているはずの美しい幻想性を少しでも表現していければと思っている。」
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■「ペイン・クリニック ファイル1*若菜」佐伯香也子
美しい中州・朱鷺島にある「ペイン・クリニック」は、ちょっと変わったクリニック。今日も、自分の嗜好や妄想を誰にも言えずにいた乙女がやってきて、「先生」に苦しい胸の内を語り始める。清楚な大学生・若菜を苦しめていたのは、「針によるお仕置き」妄想だったのだが・・・・
『マニア倶楽部』『秘性』でコラムや小説を連載中の作家・佐伯香也子の瑞々しくも繊細な短編小説。『マニア倶楽部』vol.13に「朱鷺島病院第十一病棟」として発表されたものの完全版。
■「恣意的な胡蝶蘭」華乃田カヲル
女王様テイストにあふれた、華麗でパワフルな詩。
■「飼育拷問奴隷アイリの日記」アイリ
ご主人様のお屋敷の地下で飼育されるアイリの、日々の拷問日記。ご主人様による容赦のない責めこそが、アイリの喜び。気を失うまで苛まれる事の、幸福な記録。
■「愛し難し君<いとかたしきみ>」雪花のぞ美
『マニア倶楽部』『スパンキング倶楽部』等で活躍する漫画家・雪花のぞ美が、純粋に自分の好みを追求した意欲作。「パンツが好き。オムツはもっと好き」という言葉に心震える方必見。
■「廃墟と女」泉明日香
今は廃墟となった、かつての高級ホテルの中で起きる不思議なショート・ストーリー。生と死が、万華鏡のように読む者を幻惑する。
■「やさぐれ M night」立森あずみ
仕事ができて美人だが、恋はいつもうまくいかない川島渚子。恋人に振られた晩、知り合いのワイルドなカメラマン・畝亮三となりゆきでホテルへ行き、どんどんSMの深みへはまってゆく。
変態になるのがイヤな渚子は抵抗するが、畝の魅力にもあらがえない。「好きになってもいいかな」と思った矢先、ある事件が起きる。
こんなSM小説、今までなかった! まさに女性にしか書けない、乙女力満載のSMコメディー小説。
■「県立!!なんちゃら学園1学期」コンドル大月
問答無用の4コマ漫画! さあ、みんな一緒に大月ワールドにハマろう!
■「メイド奴隷マヤ」高遠麻耶
大好きなご主人様のおうちで、期間限定のメイドをすることになったマヤ。粗相をするたびに奥様から厳しい罰を受け、夜は夜で、お帰りになったご主人様にベッドで責められる、ハッピーでラブリーなショート・ストーリー。
■「妄想乙女川柳〜イシスのしずく〜」佐伯香也子
作者初公開の、美しいフェティッシュ官能川柳二十二首。
■「夜舟屋書店 1 聖なる森の物語」シャルロット白川
世界で唯一の妄想乙女評論家・シャルロット白川の連載偽書評。第一回は、ベギン会の修道女によって、十九世紀のベルギーで書かれた秘本中の秘本『聖なる森の物語』。その濃密で独特な世界を、たっぷりとご紹介する。
■「穴幻想」山吹えりな
拓かれることに魅せられた者の、息苦しいような官能がしたたる、エロティック散文詩。
■「時間外診療」アリス・リデル/佐伯香也子・訳
アメリカのフェティッシュ小説のサイトで数々の作品を発表しているアリス・リデルの短編小説。
ドラは、ある晩、恋人であるジョージに診療時間の終った医院へ連れていかれる。そこには、魅力的なナースと背の高いドクターが待ち受けていて、ドラを隅々まで検査し始める。なすすべもなく囚われてゆくM女性の心理を、細やかな筆致で綴った美しい佳編。
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