風俗資料館
    風俗資料館内特別展示
     所蔵原画セレクション 第二回
      中川彩子原画展〜ある矯正具の裏面史 背骨のまがった娘たち〜

    第三回予告:2009年7月6日(月)からの館内展示は「粋古堂『責の撮影会』写真展」を予定しています。

     中川彩子原画展|ある矯正具の裏面史〜背骨のまがった娘たち〜
     中川彩子原画展|ある矯正具の裏面史〜背骨のまがった娘たち〜

      2009年初夏の風俗資料館内特別展示
       所蔵原画セレクション 第二回
       中川彩子原画展
      〜ある矯正具の裏面史 背骨のまがった娘たち〜



      期 日 2009年5月1日(金)〜2009年7月4日(土)
           (ご好評につき展示期間を二日間延期)
      場 所 風俗資料館
           Tel:03-5261-9557/E-mail:pl-fs@kagoya.net
      別途入場料 不要

      ※本展示は通常の方法で図書館にご入館された方のみが
      ご鑑賞いただけます。会員以外の方は「ビジター」、女性の
      方でしたら是非「夜の図書館」の時間をご利用ください。
      よって期間中は館内の蔵書も全て閲覧可能です。

    ■所蔵原画セレクション 第二回――
     2009年5月1日(金)〜7月1日(水)の二か月間、風俗資料館内にて中川彩子氏(1928-1980)の原画を公開いたします。中川彩子氏の本名は藤野一友。三島由紀夫や澁澤龍彦が愛した幻想画家としても知られています。中川彩子という筆名は、1950年代〜1970年初頭にかけて『風俗草紙』や『裏窓』『サスペンスマガジン』などの今でいうSM雑誌に藤野氏が密かに発表されていた美しい残酷画のための筆名です。
     今回公開する作品は、1964年に『裏窓』誌上にて発表された「ある矯正具の裏面史 背骨のまがった娘たち」の挿絵14点となります。古い銅版画のように繊細な線で描かれた中川氏の作品は、美しく気品にあふれ、見る者を妖しい異世界へといざなってくれます。
     藤野一友氏が中川彩子名義で活躍されていた当時、「SM」という言葉は現在のように即「SMプレイ」を想起させるものではありませんでした。SM誌には人々の幻想妄想空想が渦巻き、混沌としたアブノーマルなエロティシズムの表現に満ちていました。中川氏の作品世界はその筆頭ともいえるでしょう。当時のSM誌の(時に不条理な夢や憧れさえも包みこむ)豊かなイマジネーションの世界を皆様に思い出させてくれるものと確信いたします。
     是非、原画のご鑑賞とあわせ、掲載誌をご覧いただき、岐阜須三夫氏の真摯で不思議な味わいのある文章とともにお楽しみいただきたく思います。


    ■本展示関連書籍のご紹介

    中川彩子原画展|ある矯正具の裏面史〜背骨のまがった娘たち〜裏窓1964年3月号表紙 中川彩子原画展|ある矯正具の裏面史〜背骨のまがった娘たち〜裏窓1964年4月号表紙 中川彩子原画展|ある矯正具の裏面史〜背骨のまがった娘たち〜裏窓1964年5月号表紙
    (左)裏窓1964年3月号(資料番号0378)「ある矯正具の裏面史 背骨のまがった娘たち 第一回」
    (中)裏窓1964年4月号(資料番号0379)「ある矯正具の裏面史 背骨のまがった娘たち 第二回」
    (右)裏窓1964年5月号(資料番号0380)「ある矯正具の裏面史 背骨のまがった娘たち 第三回」
    ※その他にも当時の『裏窓』、それに続く『サスペンスマガジン(初期)』にはほぼ毎号中川彩子氏の作品が収録されております。『風俗草紙』『風俗奇譚』などもどうぞ併せて閲覧ください。

    中川彩子原画展|裏窓叢書第十集『海賊奴隷島』表紙 裏窓叢書第十集
    『海賊奴隷島』
    著者・南郷京助 挿絵・中川彩子
    1965年8月1日発行
    あまとりあ社
    ■今なお多くのファンを魅了する名作「トロイの女奴隷」(サスペンスマガジン1965年5月号〜8月号所収)の南郷・中川コンビによる長篇小説。南郷氏の硬質な残酷世界を中川氏のイマジネーション豊かな挿絵が彩り、妖しい戦慄を誘う魅力的な作品。
    中川彩子原画展|画集『縄と女』表紙 画集『縄と女』
    編集・譚奇会
    1970年12月10日発行
    三崎書房
    ■『裏窓』『サスペンスマガジン』の執筆画家たちが大集合した豪華な箱入り画集。収録画家は中川彩子、鬼頭暁、東桂史、古正英生、都築峰子、山田彬弘、沖渉二、小日向一夢、椋陽児、石塚芳幸の十名。
    中川彩子原画展|風俗草紙第7集『甘美な拷問』篇表紙 風俗草紙第7集
    『甘美な拷問』篇
    著者・中川彩子
    1971年5月28日発行
    日本文芸社
    ■大変珍しい中川彩子氏の小説作品集。中川氏は絵だけでなく多くの文章も発表されました。「哀しいマニア諸氏の哀しみに贈る」と題された前書きは必見です。なお、風俗資料館では1953年〜1954年に日本特集出版社より発行されていた月刊誌『風俗草紙』も所蔵しております。
    中川彩子原画展|藤野一友=中川彩子作品集『天使の緊縛』表紙 藤野一友=中川彩子作品集
    『天使の緊縛』
    著者・藤野一友
    2002年8月30日発行
    河出書房新社
    ■中川彩子の活躍から四十年以上、藤野の死後からも、すでに二十年以上の月日が経過している。本書は、たぶん藤野の作品と中川の作品を並列させて掲載した、最初の画集になるだろう。
    (序文より)

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    ■風俗資料館内特別展示とは――
     風俗資料館では書籍や映像作品のほかに、多くの作家達が描いた膨大な原画コレクションや貴重な写真資料(その他、自筆の書簡など、作家ゆかりの品々)を所蔵しています。普段は閉架書庫に収められ、会員も目にする機会の少ないこれら秘蔵資料を、二か月ごとにテーマを変えて順次館内で公開いたしております。
     期間中は、一つのテーマに沿ってセレクトされた様々な資料が、展示ウォールを中心にあらゆる場所に配置され、風俗資料館内を彩ります。展示は通常の図書館と併設しておこないます。ここでしか見ることのできない貴重な作品に囲まれて、ゆっくりと蔵書を閲覧する贅沢な時間をお楽しみください。


    ■ご入館について――
     風俗資料館内特別展示は別途入場料は必要ありません。ただし、本展示はこれまで数回開催いたしました「会員以外の方も入ることのできる展覧会」ではありません。正会員・準会員・研究者会員・ビジター・夜の図書館といった通常のご入館方法で来館された方のみが、蔵書の閲覧を楽しみつつ、ご鑑賞いただけるものです。会員以外で鑑賞を希望される方は「ビジター」や「夜の図書館」もどうぞ便利にご利用ください。閉架書庫の中で貴重な資料を死蔵させることなく、今の時代に一人静かに本と向き合い空想の世界に浸る時間を大切にされている皆様とともに、本物の作品に触れる喜びと感動を共有いたしたく思います。展示作品の当時を知る方も、初めて見るお若い方も、それぞれに心の奥底の記憶を呼び覚まし、新鮮な衝撃や感動、そして懐かしい安らぎを実感していただければと思います。


【戻 る】 風俗資料館 Tel:03-5261-9557/E-mail:pl-fs@kagoya.net
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