風俗資料館
    臼井静洋 禁断の秘画 幻灯会

      大盛況のうちに終了いたしました。
      会場満席、お立ち見の出る札止めぎりぎりの、本当に多くの方々にご来場いただきました。
      お立ち見でご鑑賞いただいた方々にはご不便をおかけいたしましたことを深くお詫びいたします。
      ご来場いただいた皆様、ありがとうございました。


     臼井静洋 禁断の秘画 幻灯会
      臼井静洋 禁断の秘画 幻灯会

      〜昭和の闇がよみがえる一夜かぎりの悪夢の凶宴。
       この夜の事は決して余所で語ってはいけません〜

      期 日 2011年9月1日(木)
      時 間 19:00-21:00(開場18:45)
      入場料 500円(定員あり)
      場 所 風俗資料館
           Tel:03-5261-9557
           E-mail:pl-fs@kagoya.net

      ■小さな図書館ですので席数には限りがあります。
       定員を超えた場合はお立ち見になります。ご了承ください。


     二十年前にたった一度だけ風俗資料館で会員のみを集めて密やかに開催された臼井静洋幻灯会。このたびアトリエサードから発行された『秘匿の残酷絵巻 臼井静洋・四馬孝・観世一則〜風俗資料館秘蔵画選集2』の発売を記念して、今夏一夜かぎりの復活をいたします。懐かしの幻灯機でスクリーン投影されるのは画集未収録の秘画160枚以上。幻灯会後は迫力の肉筆原画もご鑑賞いただきます。

    臼井静洋 禁断の秘画 幻灯会

    ■上映予定作品(臼井静洋肉筆画帳より)
     「女の売り立て市」「女責め残酷画帳」「歌姫無惨絵巻」の3作品
     デジタル上映ではありません。当日は幻灯機にて原画フィルムを一枚ずつ手動で投影してまいります。
     カシャン、カシャン、という懐かしい音とともに、闇に浮かびあがる原画をお楽しみください。

    ■風俗資料館は通常は会員制図書館ですが当幻灯会のみ一般の方もご入館いただけます。
     ただし鑑賞用の原画以外の蔵書の閲覧は出来ません。ご注意ください。

    『マニア倶楽部』三和出版/通巻273号/2011年9月号vol.26 所収
    「風俗資料館通信」より

    残酷絵物語「臼井静洋」の世界と幻灯会のこと
    文=中原るつ(風俗資料館館長)
     少し前「マニア倶楽部」誌上で発表されていた臼井静洋という画家の絵を皆様はご記憶でしょうか。戦後まもなくから昭和三十年代に描かれた大変に古い作品が丘浩美氏との時を越えたコラボレーションで現代に甦った異色の残酷絵物語は、私自身毎号とても楽しみでした。
     あの絵は、そもそも或る一人の好事家が、その欲望と妄想に共鳴する画家・臼井静洋に願いを託し、自分一人のために特別に注文して描かせた秘密の作品集です。その数は膨大で、五十枚ほどの点数が一冊に納められたスクラップブックが百冊以上にも上ります。出版物のために描かれたのではなく、どこに発表するつもりもない、二人だけの秘かな楽しみだった極めてプライベートな作品群は、奇跡的に散逸を免れて、長らく風俗資料館の中だけで秘匿されてきました。
     臼井静洋の作品には一枚絵もありますが、その多くは紙芝居のような連作になっています。過酷な境遇の女囚達、冷酷な暗黒組織の罠、誘拐や監禁、人身売買……そのどれもが容赦なく女を責める凄まじく残酷な物語です。縛めは屈辱に満ち、苦痛に歪む顔には一片の恍惚もありません。特に顔面への責めは執拗で、薬品で焼かれたり、鼻を削ぎ落とされたり、眼球を潰されたりと、想像を絶する加虐が施されます。拷問具としか思えないギプスや包帯、惨めな剃髪、奇妙な強制労働。四肢を切断されたり、時に死に至るほどの私刑が平然と行われます。
     出来合いのSMグッズなど存在しない時代、全て空想妄想で描かれた拘束具の数々は圧巻です。女を効果的に責めるためだけに丁寧に考案された道具は、独創的で時にユーモアさえ感じさせます。一つの物語世界を紡ぎ出す妥協のない楽しさとでも言うのでしょうか。どの作品も、眩暈のするような怒涛の展開に度肝を抜かれます。口惜しさをいっぱいに湛えた女性達は何度も逃亡や復讐の機会を狙い、捕えられるたびに運命の歯車はどんどん狂い、ほのかな希望は踏みにじられ、追いつめられる恐怖に戦慄し、逃れられない不幸に雁字搦めになりながら、物語は救いのない結末へと雪崩れ込んでゆきます。
     ここに描かれているのは当然のことながら所謂SMプレイではありません。「快楽を前提に合意の上で実践するSM」というイメージも、二人の愛や信頼といったポジティブな人間関係につながる文脈も、この作品世界には皆無です。そこにあるのは、性的な衝撃なのか何なのかわからない頃から心の奥底を疼かせてきたであろう剥き出しの残酷なファンタジーです。
     暗い欲望を今以上に言えない時代に、奇跡的に出会った二人は、どんな思いで夢を語り合ったことでしょうか。互いに欲望と妄想を加熱させ、この秘密の創作活動に没頭したことでしょう。真っ直ぐに空想妄想を表現し続けた熱烈な執着、純粋な情熱、二人の幸福な関係を私は羨ましく思います。作品の隅々まで何て細やかに、愛おしそうに描かれていることか……内容は、世に蔓延するイデオロギーのロマンチック・ラブとは相容れませんが、私はこの思いも「愛」と言いたい気持ちです。臼井静洋の残した完膚なき残酷絵巻は、切ないほどの憧憬に満ちた、夢いっぱいのロマンチックな作品と私は思うのです。
     今夏、風俗資料館では二十年ぶりに「臼井静洋幻灯会」をいたします。闇に浮かび上がる一夜限りの悪夢の凶宴。臼井静洋の毒に魅了されたファンの方は是非お越しください。

    ■関連情報――

    ●「秘匿の残酷絵巻 臼井静洋・四馬孝・観世一則〜風俗資料館秘蔵画選集2」
      編者:相馬俊樹 特別寄稿:室井亜砂二 A5判変型・並製・136頁・定価2000円(税別)
      2011年7月発売(発行:アトリエサード、発売:書苑新社)
      [アトリエサードHP内ご紹介ページはこちら→★] [Amazonでの購入はこちら→★]
      ※当画集は風俗資料館でも販売いたしております。


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