母親は、elegance3のソフトを画面に映し出していた。まだ見ていない別の機能が
沢山あるのだ。
警告、と言う項目を選び選択した。
「elegance3に新しく追加された機能です」
女性の声で説明が始まった。画面には、リモコンを持った女性が映し出されている。
「一番上に、鞭の種類を選択するボタンがあります。その下が、強弱を選ぶバーに
なっています。このバーを動かすとき、少し固く感じられるかも知れませんが、不用
意に動かないために固くしてあるのです。
その下に、アクションボタンがあります。このボタンも、下に下げてから押すよう
にしてあるのは、やはり、誤作動の防止です。安全設計上、わざと使いにくいように
してあるわけです」
母親は、画面を見ながらうなずいていた。
「さて、その下のスイッチの脇のボタンにお気づきでしょうか? これが、警告機能
です。この小さなボタンは、ピンや先の尖ったもので押して下さい。これを押してお
きますと、警告機能だけが作動します。
お子様と、一緒に外出されるときは、あらかじめこのボタンを押しておきましょ
う。外出先で、子供に警告が必要なときにはスイッチを入れ、アクションボタンを押
して下さい。ごく軽い、チクッとしたような痛みをお子様は感じるはずです。飛び上
がるようなものではございませんが、警告を与えるには充分な刺激です」
母親は、手元のリモコンを見て、小さなボタンの意味を理解した。
「これは、使えそうね・・・」
項目を調べている内に、母親の手が止まった。
:追跡センサーを埋め込まれているお子様だけの機能:
砂織は、センサーを埋め込まれていたのだ。
この、センサーこそが、砂織がいくら考えても分からない母親の秘密兵器なのだ。
およそ、30年ほど前から開発され、一般的になったのは20年ほど前からであろう。生
まれたばかりの子供の体内に、小さなセンサーを埋め込んでしまうのだ。
男の子なら、普通、陰嚢の中。女の子は大陰唇に埋め込まれる。直径1ミリ、長さ2
ミリの棒状のセンサーこそが、子供の管理を完璧にしているのだ。その事実を、砂織
は知らない。
母親が、コンピューターに暗証番号を入力し、ナビゲーターを表示すれば、砂織の
居所は瞬時にして分かるのだ。
又、記憶装置を使い、今日一日の行動を夜になってから見ることもできるのだ。砂
織がP ゾーンに行ったことや、カードを取り替えて行動したことなど母親にはなんの
苦もなく分かってしまうのだ。
その、センサーを使って、リモコンの電波を飛ばすこともできると言うのだ。セン
サーは電話回線のアンテナを使っているので、電話の使用できるところならどこでも
電波が飛ばせるのだ。
母親は、二台目のモニターにセキュリティの画面を映し出した。そして、最初の画
面にはナビゲーター。家の中の廊下まで拡大された画面に、緑色の点が点滅してい
た。それが、砂織なのだ。
セキュリティの画面で、二階の廊下を映し出す。
砂織が立っている。ズームアップすると、砂織は手を下げ、お尻を撫でていた。
母親は、マニュアル通りに、リモコンをセットして、アクションボタンを押した。
砂織が、ビクッとして、辺りを見回した。
廊下のスピーカーから、母親の声が聞こえてきた。
「砂織、手は頭の上と言ったでしょ! 時間を延ばしますよ」
砂織は慌てて両手を頭の上に上げた。
・・・今の痛みはなんなの?・・・
天井のカメラで監視されていることは分かったが、あの痛みはなんだろう。パドル
や鞭とはまるで違う痛さ。痛いと言うより、チクッと刺されたような感じ。こんな話
し、誰にも聞いてないよ・・・
夜、ベッドの中で耀子は少し興奮しながら夫に報告していた。
「新しい機能が沢山増えているの。外出先で警告を与えたり、電波を飛ばして警告を
与えることもできるのよ」
「電波は、どうやって砂織を特定するんだね?」
「それがねぇ、砂織に埋め込んだセンサーを利用しているの」
「ああ、なるほど、あの記号は国家的に登録されているから、世界中で同じ番号のも
のはいないはずだ。うまいことを考えたな。しかし、あれを埋め込むときも、君は最
初反対したんだよ」
「だって、生まれたばかりの子供に手術するって言うんですもの。でも、迷子や誘拐
のことを考えて、最後は賛成したでしょ」
「説得に手間がかかった」
「ふふふ、ごめんなさい。あれがなかったら、今頃大変だったわ。何をしでかすか分
からない年頃ですものね」
「砂織はまだ気がついていないのかね。教える大人がいてもいい頃だがな」
「普及したのが遅かったから、母親の世代では埋め込まれた人なんてほとんどいない
し。子供には話しませんからね」
「砂織が気がつかなくても、ネットスケープで情報が流れそうなものだがな」
「そうね。その事に関して、規制があるんじゃないの?」
「あるいはな。しかし、それは危険だ」
「そうね、規制はしてほしくないけど、砂織は気がついたらどうするかしら」
「自分で取り出す方法を考える」
「本当に・・・」
「あの子ならやりかねないな」
「どう、対応したらいいのか教えておいて下さい」
「子育てのネットで同じ話題があってね。ある医者が奇妙な提案をしていたよ」
「どんな?」
「まるで冗談のような話しなんだが。カプセルに特殊な粘液を入れセンサーも入れて
おく。そのカプセルを毎朝子供の体内に挿入するんだ。どんなことをしても粘液で貼
り付いて出てこないが、二十時間ほどで溶けると排泄される。それを、毎朝繰り返せ
ばいいと言うんだな」
「挿入して、排泄? 一体どこに、どうやって挿入するの?」
「肛門から挿入するんだよ。つまり、浣腸だな」
「浣腸! 砂織はあれ、大嫌いなのよ」
「だから、砂織があれに気がついた時、その話しをするんだ。もし、勝手に取り出し
たりしたら、毎朝、浣腸するってね」
耀子は声を押し殺して笑っていた。
「それ、絶対に効果あるわ。ふふふ、なんだか可哀想になってきたわ」
「年頃だからな、それであきらめるだろう」
「もっと可哀想なノウハウもあるのよ」
「ほお、どんな?」
「あの年頃の子は、生意気なことを言うでしょ。でも、それをすべて悪とは決めつけ
られないわ」
「当然だよ。生意気なことを言うのは、成長している証拠だからな」
「でも、放っておけば図に乗る」
「で、お仕置きになるんだね」
「ええ、でもお尻叩きじゃないの。生意気な娘が飛び上がるような残酷なお仕置きなのよ」
「おいおい、まさかもう権力者気取りじゃないんだろうね」
「ふふふ、まさか。これも、センサーを利用するんだけど、elegance3とセンサーを
特殊な反応をさせて尿道を弛緩させてしまうの」
「尿道を弛緩させる? それが、お仕置き?」
「夜中だったら、どうなると思う?」
「夜中に、漏らす・・・? オネショ?」
「朝起きたら、飛び上がるでしょうね。15歳でオネショなんてしたら、当分、生意気
な発言なんて出来なくなるわ。ね、残酷でしょ」
「ふううん、いろいろ考えるんだね」
「でも、これには条件があって、埋め込みが大陰唇でないと駄目なの。だからこれが
使えるのは女の子だけなのよ」
「砂織はその条件を満たしているってわけか」
「可哀想だけど、そういうことなの」
「砂織、もう寝たかな?」
「気になるのね、良いわ、ちょっと覗いてみましょう」
耀子は手を伸ばし、スイッチを入れた。天井に砂織の部屋が映し出された
部屋中、満天の星空だった。
「まあ綺麗!」
ズームアップすると、砂織はもうスヤスヤと眠っていた。
「子供は、大人が考えているより、ずっとしたたかなんだな」
「あれ、私も欲しいなぁ」
「えっ、なんのこと?」
「星空」
耀子はそう言ってから、少し照れたように顔を赤らめ夫にしがみついてきた。
「子供、どうする?」
「十五歳の年齢差……」
「もう少し早く気がつくべきだったな。いずれはこうなる」
二人に呼び出し状が届けられたのは三日前のことだった。子供を増やすことは、国
家的な事業なのだ。なぜ、二番目の子供が出来ないのか、厳しく詮議されることにな
る。しかも、その前に行われる健康チェックは、かなり屈辱的であると聞かされてい
た。
それが嫌で、努力して子供を産む。呼び出し日は一週間後のことだった。
朝、いつもと同じ時間に砂織は家を出たが、教育センターの入り口で純を待っていた。
時間ギリギリに純が駆けてきた。
「お・は・よ・う! 元気ないね」
「最低、最悪、今日はお休みにするからね。純も付き合いなよ」
「いいよ、一週間休んだって問題ない」
「座ってらんないよ、お尻痛くてさ・・・」
「ついに、装着されてしまったんだ」
砂織は返事の替わりに、コクンとうなずいた。
「15歳だから、仕方ないね。砂織はelegance3 でしょ?」
「酷いよ、鞭の種類が七種類だもんね」
「私のなんか、三種類だよ。選択の余地無し。最近、ケインばかりなんだ」
「昨日、試したのよ。食事の時のマナーがどうのこうのと難癖つけてさ、お尻ぶたれ
て、一時間以上廊下に立たせたんだよ。腕を下げたら、なんだか、チクッてお尻が痛
かったんだけど・・・」
「ああ、警告装置だよ」
「なに、それ?」
「最近、オプションで付いたばかり。その内、標準装備になるわ。でも、私のには付
いてないんだ。ママはそういう情報には疎いから、当分安心」
「それ、どういうものなの?」
「小さな子供が、外出先で騒いだりするときあるでしょ。そんな時に、チクッてやる
わけよ。つまり、直接お尻に警告を与えれば、今、自分がしていることがいけないこ
とだって分かるでしょ」
「ふうう、まるで幼児扱いってわけね」
「まあ、その他にも使い道はあるんでしょうけどね。詳細は親にしか教えないの」
「うんざりね。何年着けていればいいの? 2年、3年」
「17歳、18歳かぁ、親は管理が楽だからね。19歳、20歳でも、とりあえず着けたま
まにしておきたいんじゃないの。結婚するまで無理ね」
「そんなぁ! 5年もこのまま。気が狂っちゃうよ!」
「みんなそう言うらしいけど、結局、調教されてしまうのよ。3年もすると気にならないってさ」
「誰がそんなこと言うの?」
「コマーシャルのお姉さま」
「もう! 真面目に聞いているのに」
「ごめん、でも、もう諦めなさい。超合金だから、絶対に脱げないよ。暗証番号にも
挑戦したけど、組み合わせは何万通りもあるのよ。一応、お誕生日なんかは試したけ
ど、相手も莫迦じゃないわ」
「でしょうね」
「さあ、どこに行く? 教育センターの前に立っているなんて最低よ」
二人は歩き出したが、どこに行くあてもない。どこに行ったって母親の目が光って
いるような気がした。
「この間の話し、どうなった?」
「この間の話しって?」
「矯正院送りの話し」
「ああ、あれはもう、次の日には送られたわ」
「本当! あの人達もう居ないのね」
「今頃、しごかれてるよ。2010年代のノウハウだからね」
「あの時代に暴走していた若者とは違うでしょうに」
「多少は改善されて居るんでしょうけど、基本的には同じよ。自分の存在が、家を離
れ、個人になったときいかに弱いか、それを知らせることから始まるんだって」
「自分の存在? 私ってなんなんだろう?」
「両親の存在があって、単に、その娘という位置づけじゃないの」
「私たちには、存在感がないわけね」
「そうよ、急にいなくなったって、誰も困らない。でしょ?」
「たしかに、感情的な部分を除けば、居なくなったことにすら気が付かない」
「悔しいけど、認めざるを得ないね」
「ところで、今日、家に帰ったら訊かれるわよ」
「何を?」
「こんな時間に、何をしていたのかって。私たち、監視されているのよ。どんな方法
か分からないけど、正確に所在を掴まれているわ。それだけは事実よ」
「うん、分かってる。でも平気。相当先に進んでいるから、ヤバイ所に行ったりしな
ければ叱られることもないわ。砂織は叱られるの?」
「ううん、でも、理由くらいは訊かれるけど、叱られることはないと思うわ」
あてもなく歩いているようでも、いつもの歩き慣れた道だった。この辺り一帯は、
いわゆる教育ゾーンで教育施設が集まっている。このゾーンに居る限り叱られること
はない。
「純、矯正院のこと詳しいね」
「だって、二言目には施設に入れてしまうって脅すんだから、いい加減気になって調べたのよ」
「インターネット?」
「うん、それでも大体のことは分かるけど、私達がアクセス出来る範囲では限度があるのよ」
「指紋照合があるからね、何とかならないのかなぁ」
「でも、図書館に詳しい資料があるの。普通、子供では気が付かない政府の刊行物な
のよ。CDがあって、施設の内部が見られるし、懲罰の様子までバーチャルで見学でき
るんだよ」
「えっ! 本物の生徒が出てくるの!」
「まさか、写真もあるけど、モデルを使用していますって書いてあったな」
「誰でも見られるの?」
「ええ、勿論。見に行く? 佐織にはショックが強すぎるかもしれないけど、あらやだ、
私たち図書館の前に立っていたんだわ、さあ入りましう」
館内はヒンヤリして、気持ちが良かった。政府刊行物のコーナーには、人影すらま
ばらだった。純はためらいもなく進み、目的の棚にたどり着いた。
教育施設と書かれた箱を棚から抜き出した。
「全部借りなくても良いんじゃない?」
「矯正施設の資料だけ借りるのって変じゃない。だから全部」
純は、箱を持って受け付けに向かった。
「すみません、CD も見たいからお部屋を貸して下さい」
「今なら、どこでも自由に選べるわ。でも、二人なら・・・A-4でいいわね。小さな
お部屋だけど机もあるし、それでいい?」
「はい、それで結構です。ありがとう」
二人は鍵を受け取って部屋に入った。
「へえ、最初からここに来れば良かったね」
純が、少し恐い顔をして合図をした。天井に監視カメラがセットされていた。
「よからぬ事をする大人も居るってこと」
モニターの角度を変え、カメラが覗けないようにした。純は、矯正施設と書かれた
CDを取りだし、セットした。ヘッドギアを着けると画面は立体的に見えた。
純が言ったとおり、制作年代が古く、単純な立体画像でしかなかったが、それで充分だった。
施設の中から、こんど仲間の送られた施設を選んだ。
施設の外観から始まって、内部に誘導された。同時に、音声による解説が始まる。
***矯正施設に来た子供達は、最初にこの部屋で身体検査を受けます。単なる身体
測定だけではなく、内蔵の状態から心電図、レントゲン検査にいたるまで精密な検査
が行われます。
数々の医療器具の映像。純と砂織は顔を見合わせた。
***次ぎに、この部屋で制服が支給されます。施設内の温度は年間を通じて一定に
保たれておりますので、夏冬の違いはありません。通念、同じ制服で過ごせるわけで
すが、ここは決して刑務所ではないのです。
家庭にいるときと同じように一日の大半は私服を着用いたします。
週に一度はパーティー用のドレスを着用します。これらは、社会生活におけるマナー
を学ぶためにそうしているのです。
制服はスポーツや作業を行うときに着用します。制服と言っても全員が同じものを着
るわけではありません。
各ご家庭から払い下げになった洋服を再利用しているからです。
たしかに、写真で見た限り佐織や純が着ているものと変わりがなかった。
「私服って、なんか古くさいね」
「お下がりだから仕方ないんじゃない。それ以外にも理由はあるけど・・・」
「どんな理由?」
「この施設ではねぇ、スキンガードも訓育下着も着せないのよ」
「へえ、いいわね。私も入りたいくらいだわ」
「莫迦ね、むき出しの肌を鞭でお仕置きされるんだぞ!」
「うそ! そんなの酷すぎるわ!」
「でもねぇ、少なくとも旧時代はみんなそうだったのよ」
「・・・・・でも・・・」
***施設内の懲罰に関しましては、毎年改善が行われております。又、外部要員に
よる懲罰実態調査、監視委員における抜き打ち検査など、二重三重の配慮がなされ、
適正な懲罰が行われるようになっております。
生徒が、一般社会に戻ったときに、違和感を感じないようにとの配慮から、ここで
行われる体罰は、家庭の延長として、スパンキングが主体になっております。
時として、このような施設に入れられた生徒は、環境の変化から羞恥心を忘れてし
まうことがあるのです。それが一番恐いことであり、施設慣れ、などと言うことは絶
対に避けねばなりません。
従って、お洋服もむしろ古めかしいものを着用させているのです。
通常ここで行われるお仕置きは、ご家庭で行うお仕置きと少しも変わるものではあ
りません。
ここで、映像はお仕置きの実体を映し出した。
椅子に腰をかけた教員、膝に乗せられ、お尻を叩かれる生徒。
教室の黒板の前で椅子に屈み、お尻を鞭打たれる生徒。
次々に映し出される映像は、純や砂織にとって身近な問題だけに食い入るように画
面を見つめていた。少なくとも、この程度のお仕置きなら二人とも経験のあることな
のだ。
「これだけ? 施設のお仕置きなんてたいしたことないじゃない」
「これで終わりのわけないでしょ。本番はこれからよ」
純が、リモコンを操作した。
***家庭と同じともうしましても、ここに入るにはそれなりの理由がございます。
ご家庭で、手に負えなくなった子供が入るのです。時には、厳しい懲罰が必要になり
ます。子供達は、厳しい懲罰を通じて、自分の存在の頼りなさを実感するのです。自
分自身が、素直に白紙の状態に戻ったところから再教育が始まるのです。
その為に、懲罰室は重要な役割を果たします。
砂織が純の顔を見ると、純はニヤッと笑った。
***懲罰室。ここに入った生徒は、一度はここを訪れることになります。生徒に取
りましては、恐怖の存在であり、二度とこの部屋には来たくないと思うでしょう。こ
の部屋は、中世の拷問部屋をモデルに作られています。見るからに恐ろしい道具の
数々、目を覆いたくなるような拷問道具。しかし、これらはみんな子供達を、震え上
がらせるための小道具に過ぎないのです。世間では大人ぶって、不良少女を気取って
いた子も、この部屋の道具の前に立てば、恐怖に震え、失禁し、時には失神すること
さえあるのです。
旧時代の女学校などで使用されていた木馬。基本的には二種類ございますが、その
どちらも、ここには用意されております。三角木馬とお尻打ち用の木馬です。
映像は二種類の木馬を映し出していた。何も説明を聞かなくとも、それがどのよう
に使われるか、二人には良く理解できた。
つずいて、それを使用している映像が映し出された。三角木馬に乗せられ悶えてい
る少女。お尻打ち用の木馬の上で破廉恥にお尻を突き出している少女。
懲罰室のお仕置きは佐織の想像を超えていた。
***この懲罰室で、この二種類の木馬はしばしば使用されます。細心の注意を払っ
て使用されておりますので危険はありません。
実際に、百年前には、良家のお嬢様に使われていたお仕置き道具なのです。元々、
危険なはずはございません。
次に、拘束具、拘束衣、についてご説明いたしましょう。
画面には見るからにおぞましい拘束具が次々にあらわれていた。
「あんな木馬があるんだね」
「三角の木馬に跨らせるなんて最低!」
砂織の胸はドキドキと音が聞こえるようだった。
「最初に一人で見たとき、変な気持ちだったよ・・・」
純の声がかすれていた。
「まだ、こんなことして居るんだね。ナタリーも・・・」
「主犯だからね。当然これだね」
ちょっと目に剣があったが、美人のナタリー・ゲイガーの顔を砂織は思い出してい
た。ずいぶんお姉さんのような気がしていたが、こんな目に遭わされているのかと思
うと可哀想な気もした。
「砂織・・・ちょっと来て」
純が部屋の隅の壁にもたれていた。
「どうしたの? 気分でも悪いの?」
「しっ、静かに話して、ここ、カメラの死角なの」
たしかに、天井のカメラではこの位置は映らない。
「ねぇ砂織、胸に触ってみて、苦しいの」
純の胸も砂織と同じようにドキドキと激しく鼓動していた。
純は、砂織の耳に口を寄せ囁いた。
「純、変なの。お仕置きの映像見ていると変な気持ちになるの」
純の手が砂織のスカートの中に忍び込んできた。砂織はどうして良いのか分からな
かった。こういうことには疎い砂織なのだ。
その事を察してか、純の手は遠慮なく砂織のお尻を撫でた。
「まだ、痛いのよ・・・」
「うん、すごく熱いよ」
純の手は、無遠慮にオシャレパンティーの中に入ってきた。
「何するのよぉ〜ああん、いやぁ〜」
純の指先が、スキンガードのかすかな割れ目を探り当てた。
「純! あなたって・・・ああん、悪い・・・子」
砂織は顔を真っ赤に染め、それでも、純から離れようとはしなかった。