18 快楽の館

 粗相をした娘は、首が折れそうになるほど下を向いていた。
 豪華な刺繍をほどこされた純白の衣装はすでに脱がされ、着替えていた。
 厨房の下働きのような粗末な服は灰色で白いエプロンだけが真新しいものだった。
 中年の女の言葉が真実なら、この二人は伯母と姪の関係なのだ。その伯母がソファーに座っている耀子の真正面に椅子を置いて腰かけた。
「さあ、ここに来なさい!」
 女はそう言って自分の膝を叩いた。
「あぁ、お願いです! 我慢しますから、椅子に手を着く姿勢にして」
 21歳の娘にとって子供のようなお仕置きは屈辱なのだ。
「生意気をお言いでないよ。お給仕も満足に出来ない者が、気取るんじゃない! おまえは子供と同じなんだよ、だから、子供みたいにお仕置きしてやるのさ」
 女は娘の腕を掴み、自分の膝に引き寄せた。娘は、少しだけ抵抗したが、あきらめて伯母の膝に体を乗せた。
 佐織や佐織の友達を見慣れているせいか、21歳になると言う中国娘は小柄で、子供っぽく見えた。
 それにしても、と耀子は考えていた。女は、特別に鞭らしい物を持ってはいない。と、いうことは手で叩くしかない。
『ずいぶん恐そうな顔をしているけど、平手打ちなの?』
 耀子は不服そうに心の中でつぶやいた。
 スカートが捲り上げられ、下着に包まれたお尻が現れた。
 今時、こんな粗末で古くさい下着があることが不思議なくらい、おしゃれとは無縁の下着だった。しかし、どうせ脱がされてしまうのなら、何を身に着けていようと同じ事だ。伯母と称する女は、当然のことのように下穿きを脱がせ、娘のお尻を剥き出しにした。
 小さいが、クリッとした可愛いお尻だった。
「最近は、躾のための良い下着がございますのに、この娘の両親と来たら、わがまま娘の言いなりなんですからね。スキンガードすら、お仕置きが重くなると云う理由でこの娘は決して穿かなかったんでございますよ」
 膝の上のお尻は、すでに剥き出しになっている。そのお尻を見せながら、伯母は説明を続ける。
「その結果、21歳にもなって自分が痛い目を見るんでございます」
「それじゃあ、今でもスキンガードを着用させていないのですか?」
 信じられないと云うように耀子が訊いた。
「ああ、薄い物は着ているかどうか分かりませんね。どうぞこちらえ」
 耀子はスッと立ち上がった。そして、膝に伏せている娘のスカートを更にウエストまで引き上げた。着ていないように見えるガードスキンには勝手に脱げないように暗証番号付きの鍵がある。その小さな鍵だけは誰の目にもはっきりと見えるのだ。
 教育センターでも、スポーツセンターでも、罰を与える者は、この鍵の存在を必ず確かめる。
 スキンガードの着用は、法律でも規則でもないからだ。親の裁量で何歳から穿かせてもかまわないのだ。基本的には体を守る布なのだから、幼児用のものもある。
 中国娘のウエストにその鍵はなかった。ということは、正真正銘、剥き出しのお尻なのだ。耀子は無遠慮に娘のお尻を撫で、当然の権利と言わんばかりに、盛り上がっている双丘を叩いた。
「間違いなく、何も身に着けてはいないようね」
 耀子がソファーに戻ると、お仕置きが始まった。お仕置きの光景など珍しいものではなかったが、さすがに21歳の娘の体には色気が感じられた。
 この女の手慣れたお仕置きはどうだろう。思い切り振り上げられた手は、的確に左右のお尻に打ち込まれ、悲鳴と共に、娘の体をのけ反らせるのだ。
 何気なく見ていた耀子も、さすがにそのテクニックに気がついた。
 娘がいくら暴れても、お尻の頂点は、常に右膝の上にあるのだ。微妙に足の位置を変え、決して膝の上から逃さなかった。
 佐織にエレガンス3を着用させる前に、耀子も佐織を膝に乗せてお仕置きしていた。
佐織が暴れると、何度も膝から落としたものだ。叱れば、再び膝に戻るのだが・・・
 この女の膝に乗せられたら、自分でも逃げられないだろうと考えたとき、耀子の体に電気が走った。快感という電気は、股間から発して脳に到達した。
 ピシッ! ピシッ! ピシッ! ピシッ! ピシッ! ピシッ! 
「あああっ! ヒィィィごめんなさい、もう、決して粗相はいたしません! お奥様! どうかおゆるしを・・・」
「ふん、こんな子供だましのお仕置きで、赦していただけるなんて考えているんじゃないだろうね。これはお給仕の罰、洗濯の罰は鞭だよ」
 すでに娘のお尻は真っ赤になっていた。スキンガードを着用していれば、これくらいは当たり前なのだが・・・
 娘は、ワアワアと泣きわめき、自分がどんな格好をしているかもう分かってはいない。
最初のうちこそ閉じられていた脚も、左右の脚が勝手に跳ね上がり、深く切れ込んだお尻の谷間も、何もかもさらけ出していた。
 夫は妻の横顔を見ていた。耳が紅潮している。そして、右手がガウンの合わせ目から差し込まれていた。
 平手打ちのお仕置きがようやく終わった。立ち上がった娘は、泣きながらお尻を両手で撫でていた。
「撫でるのはまだ早いよ! 痛みをたっぷり味わいな」
 女は撫でていた両腕を背中にねじり上げ、エプロンの紐を解き腕を縛り上げようとしていた。
「奥様、女性用の手洗いの壁に小さなボタンがあるのをご存じでしたか?」
「ち、小さなボタン・・・? いいえ、気がつかなかったわ」
「お使い立てをして申し訳ございませんが、そのボタンを押しますとクローゼットが現れます。その中の鞭を選んでお持ちいただけますか?」
「まあ、そんなところに鞭があるの。ええ、いいわ」
 耀子は気軽に立って奥の部屋に消えた。
「薬が効いているようですね」
 女は笑いながら、縛った娘を部屋の隅に連れていった。
「まだこれからですよ、あと、30分もしたら・・・」
 耀子が戻り会話がとぎれた。耀子は革のトォーズを選んでいた。
 先端が二つに切れている革鞭である。
「女の子ですからね、傷の付きにくいものを選んだわ」
「まあお優しい」
「でも、これ以上叩いても大丈夫?」
「ご心配には及びません。傷さえ付けなければ良い生薬があるんです。若いし、一週間もすれば元通りですよ。さて、今度はお仕置き台を使わないといけませんね」
 女が壁のボタンを押すと、そこにも隠し部屋があった。部屋と云うより倉庫と言った方がよいのかもしれない。小さな倉庫には、懲罰台が収納されていた。
 この家には一体いくつの隠し部屋があるのだろう。あれが、尻打ち台・・・
 耀子は娘時代にその存在が気になって、こっそり博物館に見に行ったことがある。
 何種類もの尻打ち台が陳列されていた。
 博物館というきわめて学術的な環境の中でも、耀子はその台に乗せられている自分を想像し、息苦しいほどの性的感情の高まりを経験したのだ。
 その台が、今、目の前にある。その台に身を伏せたいという気持ちを、何とか理性で押さえ込んだ。
「娘のお尻がよく冷えるまで、20分ほど休憩いたしましょう。冷たいお飲物でもいかがですか」
「いただくわ、もう、喉がカラカラ」
 冷たいミントの飲料で耀子も少し落ち着いたようだった。
「手洗いは、こちら?」
「はい、ご案内いたします」
 女が先に立ち、女性用とは反対の部屋に案内した。
 隣の部屋にはいるとすぐに訊いた。
「あの、飲み物にもなにか?」
「はい、飲み物には入っておりませんが、氷に入っています。奥様はM嗜好のようでございますね」
「実は、気がついたのは最近なんです。偶然、娘のための訓育用の下着を自分が先に試着をすると言い出して、それで、その時の様子で気がつきました」
「そうでございましたか、それなら、時々は適当な理由を付けて満足をお与えてください。結果として、ご自分も快感を得られるはずです」
「そうですね、これからは考えましょう」
 女は急いで部屋に戻った。ドアを開けたとき、お仕置き台の近くから慌てて離れた耀子の姿を見た。
「もう一杯お注ぎいたしましょうか?」
「ええ、いただくわ。とてもおいしいわ」
 女はグラスの氷を惜しげもなく捨て、新しい氷に少しぬるい飲み物を注いだ。マドラーで掻き混ぜるうちに氷の表面が溶ける。薬品は氷の表面にだけ封じ込めてあるのだ。
 耀子はうっとりと目を閉じ、冷たい飲み物を喉に流し込んだ。
 時計の針は9時半をさしていたが、もう、時間のことも、佐織のことも気にならなかった。部屋の隅から娘のススリ泣きが聞こえてくる。床に膝をついているが、その膝は閉じられないように棒で固定されていた。その姿を見る度に耀子の体の中に熱いものがこみ上げた、裸で、縛られ、晒されている、自分・・・

19 情報収集

 佐織の部屋でもモニターの中の時計が9時半を示していた。
 佐織は自分のかき集めた情報をひとまとめにして純に送信した。その取り決めの時間が9時半だったのだ。
 佐織の勘は正しかった。世界中のあらゆるゾーンで同じ現象が起こっていた。
 年頃の娘の、お漏らし、オネショ。あまりの事例に、佐織はうんざりした。
 メイルをチェックすると、純が集めた情報が届いた。あらかじめ地区を分け合っていたので重複する情報はほとんどなかった。
 それにしても、おびただしい数の情報だった。

*****
米国地区*ミネソタ州*15歳*家庭でお漏らし*罰は外部からは遮断されている中庭に1時間立たされた。濡らしたパンツは膝まで下げられていた。
*****
米国地区*ニューヨーク州*18歳*野外キャンプでオネショ。*夜間にビールを飲んだことが発覚し、訓育用下着を着用していたので、パドルとケインでお仕置き。その後、濡らしたシーツの前に立たされた。(下着は着用)
*****
カナダ地区**12歳*家庭でオネショ*罰はパドルによるお尻打ち、追加の罰として、一週間、就寝時より翌朝まで紙おむつの着用を強制された。
*****

「12歳の子に、おむつ・・・」
 佐織にだって、そういう屈辱が待ち受けているかもしれないのだ。この前は、ただ単に母親がそのことに気がつかなかっただけかもしれないのだ。
 電話が鳴った。取る前に相手は分かっていた。
「ああ、純。すごいね・・・想像以上だわ」
「佐織の勘が当たっていたね。多分、センサーとの組み合わせという想像も当たっていると思うよ。これだけの騒ぎだもの、そのうち真相が分かるわ」
 佐織はコンピューターの前を離れ、ベッドに横になった。純と話し始めたら長い。
「電話なんてつまらないね、今日、パパもママも居ないんだよ。帰りは12時過ぎなんだってさ。分かっていれば純を誘ったのにね」
「仕方ないよ、仲直りしたの今日なんだから。電話だって遊べるよ、ねえ今、何着ているの」
「素っ裸」
「ふふふ悪い子だね。純が居ない間に一人遊びを覚えたな」
「それがさあ、全然違うんだよ。純が赦してくれないし、だからといって、オネショしたなんて絶対言えないしね。そんなことばかり考えていたら、遊ぶ気なんてしなくなるんだよ。でも、今日、家に帰ったらね・・・急に、変な気分になってさ」
「ふむふむ、で、少しは満足した?」
「知らない! 誰かさんと違って上手じゃないもん」
「あんなの、上手も下手もないんじゃない。要するに、イマジネーション、想像力の問題ね。ふふふ、私も今、全部、脱いじゃった」
「あぁ、ここに純がいればなぁ」
「佐織、私の云うとおりにするのよ」
 佐織は純が指示するまま、固く締まった割れ目を指先で優しく撫でた。

20 懲罰台

 娘は、すでに懲罰台に縛り付けられていた。恐怖のために体が小刻みに震えていた。 
 すでに赤く染まったお尻が、さらなる鞭を迎えるために突き出していた。
 耀子は日常の分別を失っていた。夫の体に寄りかかり、トロンとした目でお仕置きを眺めていた。ガウンの前ははだけ、前にあてがった左手は、リズミカルに動いていた。レースの付いた絹のパンティーが濡れていた。
 ビシッ! 革鞭が娘の尻で弾けた。空気を切り裂くような悲鳴。その声に耀子も反応した。ビシッ! と二発目の鞭が娘のお尻で弾けたとき、耀子は最初の絶頂に登りつめ、体を痙攣させた。
「ああ、私・・・どうかしちゃったわ・・・」
 女が目で合図をして、夫は妻の体を抱き上げた。
「殿方の休憩室の奥にベッドがございます」
 女は後ろから付いてきた。耀子をベッドに寝かせると、女は手際よくガウンを脱がせ、下着も全部脱がせてしまった。
 夫はその成り行きを興味深く眺めていた。
 女は戸棚から何種類かの拘束具を取り出した。革製で起毛した布が内側に張ってある遊びのための拘束具だが、縛る効果は同じだった。
 女は、耀子の体をうつ伏せにすると、両手を後ろに回し、柔らかな手錠で拘束した。
 首にも首輪が取り付けられ、後ろ手錠は鎖で首輪に連結された。
 足は棒によって固定され、もう足を閉じることは出来なかった。
 首輪と足の棒を紐で結び、その紐を引くとどうなるか、女は演じて見せた。
 思い切り淫らな耀子の姿態がそこにあった。
 最後の仕上げは、バーチャルリアリティ。女はヘッドギアを耀子の頭にかぶせ固定した。そして、同じものを夫に手渡した。
「同時進行しています、時代は二百年ほど前の中国、奥様は姦通の罪で告発されています。様々な拷問がくわえられ、奥様は白状し、淫売婦として売られます」
「少し刺激が強くないですか?」
「皆さん、そうおっしゃいますけど女って強かなんですよ。サイドボードに小道具が入っています、適当にお使いになった方が効果的です」
「これは、頭からかぶるタイプじゃないですね」
「はい、手で持って時々見ればいいのです。かぶってしまうと、どちらが現実の世界か混乱しますからね。こんな風にやるんですよ」
 女はサイドボードから、革紐の鞭を取り出し、耀子の体を横向きにしてお尻を突き出させた。
「さあ、スイッチを入れますから、そちらのモニターで見ていてくださいね」
 画面が映し出されると、いきなり女は紐鞭で耀子のお尻を叩いた。
 画面では美しい中国の奥様が縛られ、牢獄に向かって道を歩かされていた。
『さあ、とっとと歩け! この、淫売女め!』
 絶妙のタイミングで女が耀子の尻を叩いた。
「同じにやる必要はございません。時々でいいんですよ。まあ、ごゆっくりお楽しみください」
 女は微笑みながら部屋を出ていったが、耀子はベッドの上で悶えていた。モニターを見ると、牢屋に到着し、役人に引き渡され、その役人が今度は拷問倉まで連れて行くらしい。乱暴に髪の毛を掴み歩かせていた。
 夫が、そっと手を伸ばし、髪の毛を掴んだ。
「あぁ、私は何もしておりません。無実です!」
 耀子がかすかにそう言った。
 夫は、しばらくの間妻を画面に任せ、自分は裸になってシャワーを浴びに行った。

21 しなやかな指

 ベッドに、裸の佐織がぐったりと横たわっていた。スピーカーモードに切り替えられている電話から、けだるい純の声が聞こえてきた。
「佐織、大丈夫・・・ふふふ、変な声だしてぇ・・・」
「純・・・今すぐ、ここに来て!」
「莫迦なこと云わないの、何時だと思っているの」
 佐織が手を伸ばし軽くスイッチに触れると、天井に時刻が映し出された。11時05分。
「あぁこんな時間・・・1時間半も・・・」
「佐織・・・佐織、聞いているの?」
「・・・うん? 聞いているよ・・・」
「まだ寝ては駄目よ、ベッド点検して。汚してない?」
 佐織はベッドから体を起こした、お尻の下が冷たい。
「あーぁ、ベッド濡らしちゃった・・・」
「やっぱりね、そんなの見られたらオネショどころじゃないんだよ。お仕置きが嫌ならシャンとしなさい!」
「・・・純が、言ったとおりにしたのに・・・」
「えっ! 何か言った?」
「なにも・・・かたずけるから電話、切るね」
「うん、おやすみ・・・」
 電話を切り、佐織はシーツを剥がし、それを持ってシャワールームに入った。自分の体も内股からお尻にかけて、こわばるような感じがした。
 佐織は再びシャワーを浴びた。
 体を流れるお湯、体中の筋肉が痛むのは、久しぶりの運動によるものだ、お尻は再びヒリヒリ痛んだ。ビデを使うときのように、シャワーをはずし、体の下から勢い良くあてた。しなやかな指で丁寧に洗う。ベッドの上での、体を突き抜けるような快感を思い出していた。
 洗濯したシーツをベッドにセットすると、そのまま倒れ込みたい気分だった。
「何か、飲みたいな・・・」
 佐織は、つぶやきながら真っ白なショーツを穿いた。
 その時、コンピューターに電源が入っている赤ランプに気が付いた。モニターは自動的に消えていたが電源は入ったままだった。佐織はペロッと舌を出し電源をoffにした。

22 SEX

 信じられない、すでに二回果てていた。なのに、男のものは猛々しく勃起していた。
 男性と女性の薬は違います、それは、こう云うことだったのか・・・
 かすかな痛みを感じ、男は再び妻の体に自分のものを挿入した。
 数々の性的拷問を受けた妻は、いまや性奴として男に抱かれているのだ。
 二人は、動物的な声を上げ、三回目の頂点に達した。
 四回目の勃起は起こらなかった。
 モニターを覗くと、かつての恋人によって救出された奥様が恋人に抱かれて立ち去るところだった。
 ドアがノックされ、夫はガウンをまとい、ドアを開けた。女が笑顔で立っていた。
 妻の拘束具がすべてはずされ、ヘッドギアも取り除かれた。妻はまだ眠っているように思えた。
「奥様を抱いて、シャワールームにお入りください。中に特別な空気が満たしてあります。10秒で気持ちよく覚醒します」
 女の言ったとおり、シャワールームに入ると、耀子は目を覚ました。夫はシャワールームを湯気で満たし、流れるお湯の中で優しく妻を抱いた。
「あのねぇ、私・・・なにか、夢を見ていたような気がするの。でも、凄くいい気分よ」「僕も、同じだよ・・・」
 裸のままベッドに戻ると、二人の着ていたものがセットされていた。
 耀子が絹のパンティーを穿いている。耀子は、それを濡らしたことを覚えているのだろうか。
「お尻が痛いけど、どうしたのかしら・・・」
「覚えてないの? 悪い子だったからお仕置きしたんじゃないか・・・」
「やだ、そうだったわね。お尻ぶったのね」
「革紐でね。君は、叩かれると少し興奮するよ」
「そ、そうなの・・・それ、変?」
「まさか、SMの資質なんて誰にでもあるさ。でも、これからは気をつけた方がいい、時々、お仕置きが必要になるかもしれないからね」
「お願い、佐織と同じ訓育用のパンティーを穿かせるなんて言わないでね」
「ああ、エレガンス3か、それも良いかもしれないな」
「あれは恐いわ、あなたの人格が変わってしまうんですもの」
「僕は、このお尻を直接手で叩くほうが好きだよ」
 夫はそう言いながら耀子のお尻をスカートの上から撫でた。
 再び女が現れ、車の用意が出来たと告げた。

23 深夜の教育

 裸に、ショーツ一枚という姿で、自分の部屋を出たとき佐織には時間の概念がなかった。ベッドの上で、ぼんやりと時計を眺めてから1時間半も経過しているとは思わなかったのだ。
 階段の上まで来たとき、ゆるやかにカーブしている階段の手摺りが、佐織を誘惑した。
 佐織は、何のためらいもなくその手摺りに跨った。
 佐織の体が、気持ちよく手摺りを滑り始めたとき、玄関のドアが開き、両親が入ってきた。佐織は、キャッと叫んだが、真下で両親が口を開けたまま滑って来る娘を見上げていた。
「夜中に、何をして居るんだ」
 父親は不思議そうな顔で娘を見ていたが、母親は怖い顔で近づいてくると、いきなりパンティーを脱がせてしまった。
「正直にお言い! 何をしていたの!」
「ちょっと、ミルクでも飲もうと思って・・・」
「その格好で? 今まで寝ていたの?」
「はい・・・」
「ミルクはいいけど、ちょっといらっしゃい!」
 耀子は母親の顔になり佐織の腕を掴んで二階に上がった。三人で佐織の部屋に入ると、ベッドは何の乱れもなくセットされていた。
「寝ていたですって!」
「ごめんなさい、ああっ痛い!痛い、ごめんなさい!」
 母親の手にはリモコンが握られていた。通常はパドルにセットされているので、母親は確かめることもなく二度スイッチを押したのだ。
 父親はコンピューターの背面を手で触っていた。
「まだ熱い。消したばかりだな」
 次に、父親は携帯電話に暗証を打ち込んで耳に当てた。
「一時間四十七分・・・」
 携帯電話の料金は佐織の口座から引き落とされるが、不足している場合は保証人である父親の口座から自動的に引き落とされる。この事では毎月のように注意されていた。
 コンピューターの電子メイルを使えば、固定料金なので佐織にとってみれば無料なのだ。まさか、電話をしながらオナニーしていたとは言えない。
 父親に言い訳している間に、母親は部屋中を点検していた。バスルームからでてきた母親が佐織に近づくとピシッと頬を手で叩いた。
「ああん、ママ・・・」
「これは何なの!」
 母親は佐織の目の前に濡れたパンティーを突きつけた。
「シーツまで濡らして! いい加減なことをしていると悪い病気になるんですよ。佐織には子供を産んで育てるという大切な使命があるのよ。SEX は悪いことではないけど、佐織にはまだまだ学ばなくてはならないことがあるんですよ。たった半日、両親が留守をしただけで、やりたい放題ね」
 濡れたパンティーを顔の前に差し出され、佐織は顔を真っ赤に染めて下を向いていた。
「まったく手に負えないな。お尻を叩くにも限度があるし・・・」
「私も、自信をなくしたわ。半年くらい施設に入れましょうか」
「そうだなぁ」
 佐織は飛び上がった。今までにも何度か脅されたことはあるが、今日の両親はいつもと違うような気がした。
「嫌だ! ごめんなさい、お願いママお仕置きして。パパ! 施設に入れないで!」
「最近はお仕置きの時だって素直じゃないし・・・」
「ママ、お約束します、絶対、素直にします。どんな罰でも素直に受けますから、お願い施設には行かせないで!佐織、怖いから嫌だ」
「施設は別に怖いところじゃない。規則が多少厳しいだけだ。短期間に良い習慣が身に付く。明日、一応調べてみよう。今日は遅いからその話は明日にする。とりあえずお仕置きをしないといけないな。今日はパパのお仕置きだぞ」
「パパのお仕置きなら、スキンガードも脱がせてしまいましょう。昔風に剥き出しのお尻を懲らしめてもらいなさい」
 母親はそう言いながら佐織を後ろ向きにしてelegance3の暗証番号を会わせ脱がせてしまった。さらに、スキンガードも肌から引き剥がすようにして脱がせてしまった。
 ピシッ、ピシッ、素早い平手打ちが佐織の双丘に加えられた。その感触は数時間前に中国娘のお尻を叩いたときのことを思い出させた。
「私がお仕置きするなら、その前に処置が必要だな」
 両親が互いに視線を絡ませ、口元に笑みを浮かべたことを佐織は知らなかった。
 二人とも薬膳の効果がまだ消えてはいなかったのだ。
「粗相すると面倒ですからね、佐織ちゃん、浣腸しますよ。素直に出来るわね」
 佐織は大声で叫びたいくらいだったが、仕方なくうなずいた。
 母親の指示で佐織はベッドにあがった。
「浣腸するのよ、お尻を突き出しなさい!」
 佐織はベッドの上で思い切りお尻を突きだした。
 父親が浣腸器と薬瓶を持ってきた。しかし、母親は自分のバッグからなにやら取り出して机に並べていた。それを見ていた佐織の目が大きく見開かれた。
「ママ・・・それ、浣腸器なの・・・」
「これはね、佐織のように我が儘で我慢の足りない子に装着するんですよ。ママだって佐織と同じくらいの頃に何度かこれでお仕置きされましたよ。少し辛いけど、よく効くお仕置きなんですから我慢しなさい」
 いつもならベッドから飛び降りてしまう佐織だが、父親に睨まれていてはそれもできない。しかも、佐織の態度が悪ければ施設行きになるかもしれないのだ。
 薬液が満たされた浣腸器が肛門に挿し込まれた。佐織は、歯を食いしばって耐えた。
「ああっ、お願い・・・もう赦して!」
「何を勘違いしているの、これは純粋な医学的処置ですよ。佐織が粗相をするといけないから浣腸しているだけでしょ。お仕置きはまだですよ」
 母親は含み笑いをしながらそう言った。たしかに太いカテーテルが使用されているわけではない。
 佐織がトイレの中にいる間両親の話し声がかすかに聞こえていた。二人とも楽しそうに笑っていた。少なくとも、お仕置きの最中に笑顔を見せるようなことはなかった。
 何かが変だ。佐織は感受性の鋭い年頃の娘らしく、両親の態度が日常と違うことを感じ取っていた。
「佐織、早くしなさい!」
 トイレのドアが突然開き、母親がそう言った。いくら母親でも酷すぎる、佐織はそう思ったが口には出さなかった。
 ベッドの上に通学用の服が一揃え用意されていた。
「さあ、時間がないぞ2分で着なさい」
 父親が時計を見ながらそう言った。佐織は大急ぎで身なりを整えた。ソックスまで履いても1分47秒だった。
 父親はすでに椅子に座っていた。母親に促されて佐織は久しぶりに父親の膝に体を横たえた。たった今、穿いたばかりのパンティーが無造作に剥ぎ取られた。
 ビシッ! 剥き出しのお尻に父親の平手打ちが打ち下ろされた。スキンガードも脱がされたお尻を叩かれるのは何カ月ぶりのことだろう。
 ビシッ! ビシッ! ビシッ! ビシッ! ビシッ! ビシッ! 
 連打されると佐織は息を詰まらせ、声も出なかった。少し間が空くと、佐織は肩で大きく息をして悲鳴を上げた。
「あーっ、パパァ、ごめんなさい・・・」
 佐織のお尻はまだほんのりとピンク色に染まっただけだった。
 ビシッ! ビシッ! ビシッ! ビシッ! ビシッ! ビシッ! 
 父親は容赦なく叩く力を強め、娘のお尻を真紅に染め上げていった。ただ、お尻を叩くだけではない。佐織が暴れると股の間に膝を割り込ませ、足を絡めて動けないようにした。そのために佐織の両足は大きく開いた。
 その内股を父親は叩いた。
「悪さばかりしているとこういう目に遭うんだぞ。よく覚えておきなさい」
 そう言いながら、父親は佐織のヴァギナの近く、一番柔らかな部分を抓った。佐織は大声で悲鳴を上げた。こんなことは初めてだった。
 
 お尻は焼けるように熱い。抓られた箇所がズキズキと痛む。それでもお仕置きは始まったばかりなのだ。母親が手にパドルを握りしめた。
「さあ、佐織ちゃん、今度はベッドに手を着いてお尻を出すのよ」
 佐織は言われたとおりにするしかなかった。真っ赤に腫れ上がったお尻を母親の方に向けて着きだした。
 すでに赤く腫れ上がったお尻、スキンガードも脱がされたお尻に最初のパドルが打ち下ろされた。佐織は悲鳴を上げた。
 母親はその悲鳴がまるで子犬のようだといって笑った。
 佐織が逃げ出しそうになると父親が押さえつけ、手加減のない6打罰が与えられた。
「痛いよう、痛いよう、」
 佐織は泣きながらベッドの上を転がり回っていた。そのベッドの横で、母親が太いカテーテルにワセリンを塗り、エネマバッグになにやら薬液を注入していた。
「今度こそ素直に出来るでしょうね、おとなしく言うことを利かないと縛りますよ」
 もはや佐織に抵抗する意志はなかった。
 父親は佐織をベッドに寝かせ、太い体温計をお尻に挿し込んだ。
 次に母親がエネマバッグの薬液を注入した。お腹が脹らむほど注入し、最後に太いカテーテルで肛門を塞がれてしまった。

 特殊な器具は直腸の奥で風船が脹らみ、決して抜けないのだ。
 処置が終わると佐織は部屋の隅に立たされた。いつものように佐織が後ろ向きになると、父親が体を回転させ部屋の方を向かせた。
「もう2時半を回ったぞ、まったく・・・」
 父親が睨むと母親は下を向いてしまった。
「そもそも、君の躾が甘いからこういうことになるんだ」
「ごめんなさい、これからは注意します」
「ごめんなさいで済めばパドルは必要ない」
「分かりました・・・お部屋で・・・」
「いいや、今、ここでだ」
「そんな! 佐織の前でなんて・・・」
「その方が佐織のためにもなる。悪いけどお仕置きするよ。パドルだ」
 佐織はお腹の苦しいのも忘れて両親の会話を聞いていた。パパが・・・ママをお仕置きする?
 佐織の目の前で母親はベッドに手を着きお尻を着きだした。
 信じられないことが目の前で起こっていた。ママはスキンガードを穿いているのかしら? どう見ても、お芝居には思えなかった。たとえ、スキンガードを穿いていたとしても、父親のパドル打ちがどんなに痛いか佐織のお尻は知っていた。
 ビシッ! ビシッ! ビシッ! ビシッ! ビシッ! ビシッ!
 母親は佐織のベッドに上体をあづけ、パンティーも脱がされ剥き出しのお尻を叩かれていた。そこには何のトリックもなかった。
『佐織のためにママがお仕置きされている』
 佐織はボンヤリとした頭でそのことだけを考えていた。
 注入された薬が効き始めていた。お腹は張っていたが腸を刺激することはなかった。
 両親が佐織をベッドに横たえたとき、佐織はもう目をつぶっていた。風船の空気が抜かれ、太いカテーテルが抜き去られたときも佐織は意識がなかった。
 佐織のお腹はすでに空になっている。満たされている薬液だけが朝までにゆっくりと排泄される。そのために母親は使い捨てのおしめを佐織に当てた。
「朝になったらどんな顔をするかしら」
「これで少しは懲りるだろう、良い薬だ」
 両親は顔を見合わせて笑っていた。
「貴方、本気で叩くんですもの、痛いわ」
「それなのに、もう濡れているよ。佐織に見られないかとヒヤヒヤしたぞ」
 まだパンティーも穿いていない妻のお尻を夫がピシャリと叩いた。
「いやよ、さあ、ベッドに行きましょう」
 両親が佐織の部屋を出たとき、時計は3時を回っていた。

つづく