第9話 by 多香美じかん

復讐のスパンキングが終了した時、時計の針は午後7時を
まわっていた。
悟と宇田川は、美人母娘の真っ赤にはれ上がった臀部を肴に
ビールで乾杯している。

悟が就職して配属された部署は、宇田川のいる部署だっ
た。
或る日、偶然、レンタルビデオショップのアダルトコー
ナーで会った時は、びっくりするやら恥かしいやらで、
少しギクシャクした二人だったが、お互いの手にしたビ
デオから、スパンキング好き、という特殊な性癖同士で
ある事を知って、意気投合した。
しかも、二人がこの会社に就職した理由が、
「いつの日か、
社長の娘である白川由梨子のお尻を叩きたい。」
という、一般の常識では考えれないような点で一致して
いた事を知り、二人は急激に親しくなった。
二人は、休みの日にはいつも、
どちらかの家で、スパンキングのビデオを鑑賞しながら、
白川由梨子への復讐お仕置き計画を練っていた。
計画も煮詰まり、具体的に話が盛り上がってきた矢先、
宇田川に左遷の辞令が出たのだ。
悟は、もう、やるしかない、
と決意した。
すると、その決意に神様が応えたかのように、
「明日の午前11時に、
由梨子さんと奥様を迎えに行きなさい。」
という母親の道代の言葉。
家族3人の外食を知った悟は、急いで宇田川に連絡を取り、
今日の決行となったのである。

悟と宇田川はほろ酔い気分の夢見るような気持ちで、
無残にも叩きのめされたまま晒しものにされている美人
母娘の、真っ赤にはれあがった臀部を見つめた。

悟は、幼い日にママゴトでお仕置きをされた恨み、
宇田川は、片思いでずっとずっと肘鉄をくらわされた恨み、
端から見れば、理不尽な言いがかり極まりない理由であるが、
悟と宇田川にとっては、由梨子は憧れの女性であっただけに、
命をかけてでも晴らさなければならない、正当な恨みだった
のである。
この、歪んだ卑しい心による異常な行為は、
悟と宇田川にしてみれば、
正真正銘、悪を懲らしめるお仕置きだった。

母親の静江の方は、娘のとばっちりを食らったようで、
哀れだったが、由梨子以上に匂いたつ色香と、そして、
由梨子の母親、自分たちの会社の社長夫人、という存在が、
悟と宇田川の欲情をそそり、刺激した。
もはや、憎き由梨子と同罪のターゲットであった。

そして、ついに由梨子と静江に、スパンキングのお仕置
きをした。
ついに、やったのだ。
美人母親のすすり泣きを聞きながら飲む酒は、
二人にとって最高の、勝利の美酒だった。

「おい、松下、写真撮っておけよ。」

宇田川が悟の耳元で小声で言った。
悟がカウンターの奥からカメラ持ち出してくる。
真っ赤にはれ上がった母娘の豊臀に向けて、シャッター
が切られる。

今まで恥辱に打ちのめされ、すすり泣きしていた由梨子
と静江だったが、
シャッターの音と光に、飛び上がるようにもがいた。

「いやっ、やめて!写真なんて撮らないでっ!」

「お、お願いですっ、こんな姿を写さないで下さいっ!」

二人の哀願を無視し、シャッターを切り続ける悟。

「いやーっ、お願い、やめてーっ!」

「ああ、そんなひどい事・・・、
お願いですっ、やめて下さいっ!」

5分もたたないうちに、24枚のフィルムに、
白川母娘の恥かしい姿がおさめられた。

恥辱と絶望のどん底で、泣き崩れる由梨子と静江。

「いいか、お前達が妙な真似をすると、
この写真がものを言うからな。
白川コーポレーションの社長令嬢と社長夫人が
仲良くお尻を放り出してスパンキングのお仕置きを
された写真だ。こんなのが社内なバラまかれたら
大騒ぎになるぜ。」

縄を解かれた由梨子と静江は、床に泣き崩れた。

「わかったな。俺達の復讐はまだ終っていない。
これからもちょくちょく呼び出すから、その時は
いつでも母娘仲良く出てくるんだ。いいな。」

「そ、そんな・・・。」

思わず泣き濡れた頬をひきつらせ、静江が顔をあげる。

「これくらいのお仕置きで許してもらえると
思っていたのか?
笑わせるな。今日のところはほんの序の口さ。」

そう言って高らかに笑い出す宇田川を、由梨子は憎々しげに
にらみ、

「卑怯者!人間の屑だわ!」

と吐き捨てた。

「なんだとっ!?
もういっぺん言ってみろ!」

宇田川は由梨子の耳をつかみ、しごいた。
今度は悟が言う。

「やっぱり許すわけにはいきませんね。
宇田川さんにそんな態度をするようでは、
まだまだお仕置きが足りない証拠です。
これから、毎日、お尻の皮がはがれるまで
ぶっ叩いた方がいいかもしれませんね。」

由梨子は宇田川に耳をつかまれたまま悟に顔を向け、

「許せない、許せないわ、あなたたちの事・・・。」

と、吊り上り気味の切れ長の目をさらに吊り上げた。
悟はわざとらしく溜息をつき、

「仕方ない。明日はお休みだから、月曜日にでも
この写真を会社にバラまきましょう。」

と言った。すると、静江が、

「そ、それだけは許して下さい。
そんな事をされたら・・・・。」

と、悟に、泣き濡れた哀しい瞳で言った。

「だったら、お母様からも由梨子さんを説得して下さい。
これからも僕等のお仕置きを素直に受けるように。
僕等だって人間ですからねェ、今みたいな口きかれ
ると頭に来るし、もっともっと痛めつけてやろう、って
気にもなりますよ。」

悟も宇田川のように高らかに笑った。
宇田川と悟の品の無い高笑いと、由梨子と静江のすすり
泣きが、絶妙なハーモニーを奏で、響き渡った。

つづく

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