第16話 by 多香美じかん

哀れな美しい母娘が抱き合って恐怖に震えている。
由梨子は静江の胸に顔を埋め、泣き続けている。
静江もまた、由梨子の肩をいたわるようにそっと抱き、
泣き続けている。
どうして、こんな目にあわなければならないのか、
いったい自分たち母娘が何をしたというのか、
美しい母娘はあまりにも惨めで恐ろしい現状に、全身
を震わせて、泣き崩れているのだ。

「今回だけは大目に見てやる。
そのかわり、いいか、今度、俺に口答えするような
真似をしたら、承知しないゾ!
お腹の中がただれるほど浣腸してやるからな。」

宇田川は、抱き合って泣き続ける母娘を見下ろし、
自分への絶対服従を誓わせようしている。
しかし、ただ泣き続けるだけの母娘に腹を立て、

「わかったのか!
わかったなら、返事をするんだっ!」

と喚き散らす。
すると由梨子と静江は、完全に怖じ気づき、

「わ、わかりました。」

と声をそろえて返事をするのだった。
宇田川は勝誇ったような表情で、悟を見た。
悟も満足気に大きくうなづき、哀れな母娘を
見下ろして、悦に浸るのだった。

「よーし、それじゃあ、
由梨子、浣腸は許してやるが、
俺にたて突いた罰は受けてもらうぞ。
いいな。」

「・・・・・・」

「返事はどうしたっ!」

「は、はいっ!」

「よーし、いい子だ。
それじゃあ、まず、奥様、
そこに正座して下さい。」

静江が不安気に顔をあげる。

「さっさとしないかっ!」

「はいっ!」

静江はあわててその場に座り直したが、
叩かれたお尻がヒリヒリと痛み、
きちんと正座が出来ない。

「奥様、俺は正座しろ、って言ったんですよ。」

静江は宇田川の目つきに怯えて、痛みを堪えて必死で
正座をする。

「よーし。次は由梨子だ。
お母様の膝の上に腹ばいになれ。」

「・・・・・・」

「返事っ!」

「はいっ!」

由梨子は恐怖にふるえる体をなんとか動かして
静江の膝の上に乗った。
宇田川と悟はニヤニヤと不気味に微笑みながら、
静江の真正面にあぐらをかいて座った。

「由梨子がこんな生意気な女に育ったのは、
お母様の躾が甘かったせいです。
さァ、今からでも遅くはありません。
厳しく娘を躾て下さい。」

静江が戸惑いの表情を見せると、宇田川は、

「さァ、昔を思い出して、娘さんに
お尻ぺんぺんのお仕置きをしてやっ
て下さい。」

と、わざと真面目な表情をつくって、静江に
言うのだった。
静江と由梨子の顔が見る見るうちに紅潮する。

「さ、はやく。何をしてるんですか?
娘さんにお仕置きをするんですよ、お母様。」

「そ、そんな・・・。」

「お母様のお気持ちはよーく解ります。
しかし、しかしですよ。ここは心を鬼にして
娘さんにお仕置きしないと、
娘さんはまた私たちに逆らって、浣腸をされ
なければならなくなります。」

宇田川が可笑しくてたまらない、といった表情で
静江を説得していると、悟は立ち上げって、移動し、
由梨子の顔の前にしゃがみこんだ。
そして、目を伏せてこの屈辱に耐えている由梨子の、
丸く尖った顎に手をやり、顔を起こさせ、

「由梨子さん、お母様にこう言いなさい。
お母様、由梨子は悪い娘です。
どうか、由梨子のお尻をぶって
お仕置きして下さい、
ってね。」

「そいつはいいや!」

宇田川がまた下品な高笑いをする。
由梨子は世にも哀しげな表情になり、再び大泣きし始める。
すると悟は由梨子の弾力のあるお尻をピシリッと平手打ちし、

「浣腸されてもいいのかっ!」

と怒鳴った。
それを合図に宇田川が再び浣腸器を手に、近づいてくる。
静江はそれを見ると、狼狽し、

「お、おっしゃる通りにいたしますっ!
お願いですっ!それだけは許して下さいっ!」

と口走る。そして、膝の上の由梨子に向かって、

「由梨子、言う通りにするんです!」

と言った。
由梨子がひときわ大きな声で泣き始める。まるで
赤ん坊のようだ。
宇田川と悟は、自分たちが追い込んだとはいえ、
これが、あの上品で気丈な白川由梨子だろうか、と
信じられない気分になってくるのだった。

「さァ、由梨子さん、お母様にお願いするのです。
ほら、宇田川さんの浣腸器がそこまで来てますよ。
いいんですか?」

由梨子はさらに激しく泣きじゃくる。

「由梨子さん、言っときますけど、
浣腸した後、トイレになんか
連れていってあげませんからね。
僕や宇田川さんに見守られながら、
ここで、あの洗面器の中にドバッと
排泄してもらいますから。
ああ、由梨子さんはこんな綺麗な顔してて
どんなウンチをするのかなァ。
いくら美人でもやっぱりウンチは臭い
のかなァ?」

悟がからかうようにそう言うと、
宇田川は腹を抱えて笑い転げたが、
由梨子と静江はもう生きた心地も無く、
恐怖と屈辱に震え上がる。

「由梨子っ!」

静江が発狂したように叫ぶと、由梨子は
鳴咽を繰返しながらも、

「お母様、由梨子に、
由梨子にお仕置きして下さいっ!」

と必死で口走る。

「何か一言抜けてませんか?」

と悟は笑いながら言ったが、
宇田川は鋭い目付きで静江をにらみつけ、

「さァ、始めるんだっ!」

とドスの効いた声で言った。
静江はもう何も考える事が出来ず、ただ、宇田川の
命令に従い、
由梨子の尻めがけて、その美しい白い手を振り下ろすの
だった。

つづく

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