第32話 by 多香美じかん

道代がアジトとへ戻ると、由梨子と静江は鎖のついた首輪を
はめられ、床を四つん這いで這わされていた。
宇田川が由梨子の鎖を、悟が静江の鎖をそれぞれ握り、皮鞭
を片手にその屈辱的行為を強制している。

「おらっ、由梨子!もっとしっかり歩け!
お母様を見てみろ!堂々たるもんだ!
いつまでもピーピー泣いてないで、
お前もはやく犬としての自覚を持てっ!」

あまりにもみじめな哀しさに泣き崩れてしまい、なかなか前
に進まない由梨子に腹を立て、宇田川が怒鳴っている。

「犬みたいに歩け、って言ってるんだよ!」

ピシッ!

「ひーっ!」

四つん這いのまま泣いている由梨子の尻に、宇田川の皮鞭が
炸裂する。

「おら、歩け!・・・歩けっつの!」

ピシッ!

「あうっ!」

由梨子が鞭の痛みに耐えかねて動き出すまで、宇田川は何発
も何発も由梨子の尻を鞭で打った。

ピシッ!

「ううっ!」

ピシッ!

「うぐっ!」

ピシッ! ピシッ! ピシッ!

「ああっ、いやっ!」

ピシッ! ピシッ! ピシッ! ピシッ!

「い、いやっ!歩、歩くわ!
歩くから、もうぶたないでっ!」

ピシッ! ピシッ! ピシッ! ピシッ! ピシッ!

「ああっ、も、もう許してーっ!」

泣き喚く由梨子を気にかけながらも、泣き濡れた瞳を
静かにとじて、静江も肢体を這わせている。
こちらも歩むペースが少しでも落ちると、官能味あふ
れる豊満な臀部に悟の皮鞭が飛ぶ。

ピシリッ!

「ひーっ!」

鞭打たれ、歩みを止める静江。

「奥様、駄目じゃありませんか。
娘さんにちゃんと手本を見せなくちゃ。
もっとしっかり、犬になりきって歩いて下さい。」

ピシリッ!

「ああっ!」

静江はすすり泣きながら、白くて美しい腕とやや太めの
足を動かしながら、犬として再び這い始める。

尻を鞭で叩かれ、素っ裸で床を這いまわされているあの
2匹の牝犬が、今まで自分が仕えていた主人であったな
んて、道代には信じられない思いであった。
息子たちの鞭が由梨子や静江の肌に炸裂する音や、彼女
たちの恥辱にまみれた泣き声を聞いていると、なんとも
痛快で、もっともっといじめてやろう、という気持ちが
炎のようにメラメラと燃え上がってくる道代であった。
そして、自分の中に、こんな一面があったのかと、驚い
てもいた。

「早速、調教が始ってるのね。」

その声に宇田川は顔を上げ、道代が薄笑いを浮かべ
ながらドアの所に立っている事に気づいた。

「おかえりなさい。どうでした?社長の方は。」

「ええ。最初は全然信じてなかったみたいだったけど、
奥様の手紙と写真見せてやったら・・・。
ふふふ、あなたたちにも見せてあげたかったわ、旦那
様のあのマヌケ面。」

道代はそう言うと、高々と笑い上げた。
由梨子がまた激しく泣き叫ぶ。
静江は哀しげな翳りある瞳を道代に向け、

「あ、あんまりですわ、道代さん。
こ、こんな、こんなむごい事・・・・。」

と大粒の涙を流しながら訴える。

「自業自得よ。社長夫人や社長令嬢である事を
鼻にかけ、威張り散らしていたあんたたちが
悪いのよ。
罰が当たったとでも思ってあきらめなさい。
だいたい、うちの大事な息子を殺そうとしと
いて、あんまりもむごいもないものだわ!
命が助かっただけでも
ありがたいと思いなさいよ。」

道代は自分の言葉に酔った。なんと痛快な事だろう。
宇田川が続ける。

「今までの栄耀贅沢な誇り高い暮らしとは
きっぱりと決別して、由梨子さんと奥様には
ここで、俺達のペットとして暮らしていただ
きますよ。
あなたたちはもう社長夫人でも社長令嬢でも
ありません。犬や豚と同じ、家畜です。
つまり、俺達があなたたちを飼うわけです。
わかりますね?」

宇田川の言葉をさえぎるように、由梨子がまた泣き叫び、

「いやーっ、そんな事、いやよっ!
宇田川さん、お願いですっ!
ど、どうか許して下さい!
今までの事は謝ります!
これからも呼び出されたら、ちゃんとお仕置きを
受けに来ます。だ、だから、
・・・・だから、私たちをここへ閉じ込めるような
事は許してっ!お願いですっ!」

と、宇田川の足元にひれ伏し、額を床にこすりつけるように
土下座して哀願する。

「今更何を言ってるんですか?
昨日もそのお願いは聞きましたけど、
俺も松下も松下のお袋さんんも、由梨子さんの事は
絶対に許せません。
それに、もう手遅れですよ。そう言ったでしょ?」

さらに激しく泣き崩れる由梨子。
宇田川はそんな由梨子の背中にピシッと鞭を振り下ろし、

「さァ、グダグダ言ってないで、元の四つん這いに戻り
なさい。」

と命令する。
悟が道代に、

「それにしても母さん、調教とは良い言葉だね。」

と言った。

「だってこのペットたちには躾をするのと同時に
芸も仕込むのでしょ?調教よ、やっぱり。」

道代がそう答えて笑うと、宇田川はポケットからテニス
ボールを取出し、

「それじゃあ、芸をひとつ仕込むか!
調教開始だ!」

と言って、そのボールを店の奥へ転がした。

「さァ、由梨子、あのボールをくわえて戻ってこい!」

宇田川の思いつきに悟と道代も笑って、

「そいつはいいや!」

「まァ、おもしろそう!」

と声をあげた。
しかし、由梨子は床に泣き崩れたまま、泣き続けている
だけである。
宇田川は冷たく笑いながら、

「仕方がないな。
言う事聞かないペットがどんな目にあわされるか、
思い知らせてやろう。」

と言った。

「そうね、躾や調教は厳しくいかないとね。
・・・・で、どんな罰を与えるの?」

道代がワクワクといった表情で宇田川を見る。

「まァ、見てて下さいよ、お母さん。」

宇田川はそう答えるとその場にしゃがんで、
泣き崩れている由梨子を抱き起こし、
無理矢理、四つん這いの姿勢に戻させた。
そして、カウンターの上に置いてあった洗面器を
由梨子の膝の横に置いた。

「さァ、由梨子さん、足をあげて
おしっこしてごらん。
ちゃんとこの洗面器に入るように。」

由梨子の泣き濡れた頬に戦慄が走った。

つづく

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